2020年3月8日
暖冬だった今年の冬。軽井沢も積雪するほど雪が降った日は、数えられる程しかありませんでした。
しかし、1月に入り手足が痺れるほどの寒さを感じるようになった頃、ようやく鳥井原の森にも雪の日が。私がかぜあそびを訪れた1月29日の前日、この日は朝からたっぷりの雪が降り大きなかまくらや雪の温泉をつくったのだそう。
そして、まだ雪の残る翌日。
この雪がある出会いを子どもたちに運んでくれました。
登園してすぐ荷物を置き森の奥へと進んでいく、シュンタ、シュンスケ、そしてアイ。昨日降園してから降った雪で前日の遊び跡は消え、真っ白になったフィールドを歩きます。
しばらくすると、シュンタが声をあげました。
「ねぇ、これみて!」
とん、とん、とん、とん。規則正しく続いていく、森の“だれか”の足跡。
三人はその足跡を辿っていくことにしました。
アイ:「こっちまでつづいてるよ!」
シュンタ:「なんのあしあとだろう?」
シュンスケ:「ゆっけならしってるんじゃない?」
三人:「ゆっけー!!」
足跡の横を一列に歩きながら、スタッフのゆっけを呼びます。その声に反応した他の子どもたちも一緒になって、さらに足跡を辿っていくことに。
「かわ(川)にいってる!」足跡は、私たちがこれ以上進んでいくことができないロープの先まで続いていました。
「りすかな?」「きつねだよ」「ねこもいるんだよ。みたことある」
思い思いに動物のなまえをあげる子どもたちに、ゆっけは「なるほどねぇ」と言いながら自分の持っている知識を共有し、質問していきます。
「たしかによく見ると、猫とか犬みたいに肉球があるのが分かるね。この動物は川に行ってるけど、猫は川に行くかな?足跡の大きさからどのくらいの体の大きさの動物か分かることもあるんだけど、まる(シュンタの飼っている猫)の足の大きさと比べたらどう?」
シュンタ:「うーん、おなじくらいかな」
ゆっけ:「まると同じ大きさだったら同じ大きさ、大きかったらまるより大きいはずだよ」
アイ:「このロープをくぐれるおおきさだとおもうよ。だって、まだこっちにあるいていってるから」
シュンスケ:「ウサギかな?」
ゆっけ:「ここをよく通る動物ってなんだろう?」
シュンスケ:「イノシシ!これ、イノシシだよ」
ゆっけ:「たしかにイノシシの足跡見たことあるよね。でも、イノシシの足先は2本に分かれていたね」
シュンスケ:「おもいだした。ウサギのあしあとはまるいよ」
シュンタ:「ここに、えさやカメラしかけたら?さいしょは、おさかな。」
アイ:「おさかなたべにきたら、ねこだね!」
そこから、今まで名前があがった動物は何を食べるのか、そもそもこの足跡はいつついたのか、という話題へ話は広がっていきます。
シュンスケ:「ゆきにあしあとがあるってことは、よるのあいだにきたんだよ」
シュンタ:「クマとかリスはぜったいいないよね。(さむいじきは)あなのなかにいるから」
そこに、なんだろうと後から様子を見に来たリョウとキヨも加わりはじめます。
リョウ:「ねこだとおもうよ」
シュンスケ:「ねこはみずがきらいなんだよ」
リョウ:「リョウくんちねこかっているけど、これくらいのおおきさだもん」
シュンスケ:「キヨもねこかってるよね。ちびた(キヨの飼っている猫)もこれくらいのあしのおおきさ?」
キヨ:「うん。あとにくきゅうがあって、にくきゅうをぐっとするとツメがでる」
リョウ:「こぐまじゃない?」
シュンタ:「でもふゆはねてるよ」
リョウ:「にんげんのこぐま(風越スタッフ)だよ」
そこでみんな、笑った。笑って、少しずつフィールドのいろんなところに散っていきました。
この日、誰の足跡なのか答えは出ませんでしたが、雪が降ったことで気づけた森の住人。だれかの足跡。
子どもたちのワンダーがうまれた出会いでした。