2024年4月22日
風越学園では、幼稚園と1〜4年、5〜9年の異年齢で形成されるホームがそれぞれ5つずつあり、これは学級に代わる子どもたちのコミュニティの一つとなっている。僕は1〜4年のホーム「ぬけあな」の担当をこれまで3年間やってきた。学級に当たるホームの名前が「ぬけあな」と聞いたら突っ込みたくなるが、2年前に理事長しんさんが引いたくじ引きにより「ぬ」から始まるホーム名を考えよ。ということで「ぬー民」とか「ぬれせん」とか「ぬかかりん」などなど、謎のホーム名がたくさんあったものだった。
そして今年はくじ引きで、全校「き」から始まる、8文字ということが決定し、発表された。(ちなみに、しんさんはくじを引く前に、「例えば、キイロスズメバチとか。。。」という例を挙げたというミラクルがあった。)
全体の会も終わり、今年初めてのホームの日がスタートすると、上級生が抜けたこともあり、これまで以上に子どもたちが自分ごとで進めるホームの名前決めが始まった。
こぐま:今日は今年初めての時間だけど、誰か進めてくれる?
ガク:じゃあオレやるよ〜。
という感じで、4年生のガクが今日のファシリテーター(進行役)を買ってでた。
ガク:それじゃあ、ホームの名前。多数決じゃないけど、(出ている中で)一回手をあげてねー。
ガク:「禁じられた色」がいい人?(→1人)ヒナタはなんでそれがいいの?
ヒナタ:カッコいいから。
ワカナ:「きいろいひまわり」(→8人)
ケイ:「キング ホーム1」(→7人)
ここには、自然に大切にされている子どもたちの思いがある。それは、多数決ではみんなの思いは汲み取れない、だから多数決じゃない方法で決めたい。ということである。
これは、長い歳月のなかで、子どもたちが自分で決め、そしてぶつかる中で培ってきた、「みんなで 決められる」という感覚でもあり、上級生が抜けたあとも、それがごく普通に息づいていることを感じた。
ガク:ヒナタ、もし、「禁じられた色」がダメだとしたらどっちがいい?
ヒナタ:「きいろいひまわり」。
ガク:マジかよ!(ヒナタが「キングホーム1」に手を挙げて、ひまわりと人数が対等になると思っていた)
マユ:決まらないなら、混ぜたらどう?「キング ひまわり」とか。ケイ、なんで「キング ホーム1」がいいか教えてくれる?
ケイ:放送とかした時、「きいろいひまわり」じゃ女の子っぽいし。
ガク:スポフェス(子ども発の体育祭のような行事)で、旗つくるじゃん!あのとき、キングの方が盛り上がる。
レン:キングって男向けだから「金のホーム1」とか。キングを違う言葉に変えられる?
タカネ:うーん、なんかパッとしないよね。
ガク:女王は?
みんな:ヤダヤダー、、、
ケイ:「キングホーム1」ってどう?ってもい に聞いたら強そうだけどねっ。て言われた。
ハルカ:ホーム1と言えば(テーマカラーは)黄色だけど、そうじゃなくてもいいよね。金とか。
ガク:。。。俺は正直、「金のホーム1」でもいい。リンは何がいい。
リン:「銀」がいい。「ぎ」でもいいって。
マユ:えぇー!「金のホーム1」がいい。
ガク:「金のホーム1」がマジでやだって人?キングは男っぽいし、きいろは女の子っぽい。
レン:この名前を2年使うから、それなら頑張るぞって感じでキングでもいいよ。
ガク:ヒナタは?
ヒナタ:うーん、まぁ。。じゃあいい。
ガク:みんなそう?じゃあ、決まりでいいかな?「キング ホーム1」
レン:キングになったけど、ひまわりも(ホーム名の)周りに絵で描けばいいじゃん。
と、こんな感じで、今年のホーム名は決定した。
それにしても、子どもたち同士でみんなの思いを汲み取って場をつくり出している。自ら多くは語らない子も、その姿や表情を見ればどれだけここにコミットしているかがわかるというもの。その感じはみんながファシリテーターという雰囲気だ。
すっかり感心してしまったけれど、今年もホームではよいことも困りごとも含め、たくさんのエピソードが生まれることだろう。
自分たちでつくりだそうとする子どもたちの姿を、楽しみながら過不足なく見守りたい。