2025年1月28日

第93号(2025年01月28日発行)

2025年1月28日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

大人からも子どもからも、今年度残り何日だねという声が聞こえるようになってきました。
スタッフでの今年度のカリキュラムのふりかえりも少しずつ始まっています。
実践者である私たちがよい問いを真ん中に置きながらやり取りすることは大きなパワーを生むのではないかという仮説のもと、私たちがどんなことを願っているのか、そのうえでどんな問いを置けるといいのか、少しずつ言葉にしています。

かぜのーと 第92号(2024年12月27日発行)
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【1】『「わたし」と「わたしたち」を行き来する』新井 佑香
【2】『”自分がどうあるか”に誠実に、変化し続けたい』竹内 克紘
【3】子どもの世界を覗いてみると5『1、2年生の圧巻の対話』林 里紗
【4】 2/19〆切 実践ラボ「書きたい!なりたい!やってみたい!子どもが『のびやかな書き手』になる授業づくりとは?」参加者募集
【5】2/10(月)開催/世界トップクラスの技術を持つ12人によるジャグリングパフォーマンスショー@軽井沢風越学園
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【1】# プロジェクト
   『「わたし」と「わたしたち」を行き来する』新井 佑香
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1枚の写真を、まず紹介したい。何をしている場面か、わかるだろうか。

私の左隣に座っていたある子どもがみんなに何かを話している。それに仲間たちが耳を傾けている。風越学園の午後の時間に行われるテーマプロジェクト。7・8年生Aグループと行ったテーマプロジェクト「色と形で広げる世界」はテーマプロジェクトの最後の15分、毎日こうして円になり、お互いの声を聴き合うことを続けてきた。

この時間が「わたし」と「わたしたち」をつなぐきっかけになったと、今、振り返っている。

このプロジェクトは、材料や方法、色や形などをもとに、想像する世界を絵や空間に表すことをねらいとしている。前半は表現を楽しむ活動をいくつか行い、中盤には軽井沢町内にある2つの美術館を訪れ、様々な表現方法に出会う場面を設けた。後半は、子どもたちそれぞれが主題とコンセプトを決め、作品制作を行った。アウトプットデイでは自分の作品だけでなく、友達の作品を見に来てくださった方に紹介することに全員がチャレンジした。

テーマプロジェクトの前半は、表現を楽しむ時間。子どもたちがこれまで出会ってこなかったような表現方法を扱って、7・8年生の身体の中に眠る「表現って楽しい、面白い」という感覚とそれぞれの子どもたちが出会い直せるような時間になればいいなと思っていた。

ロープにぶらさがりながら絵の具で描く「アクションペインティング」に始まり、お気に入りを描く「マイ・フェイバリット」、色と形で伝えたいことを表現する「伝えよう 色・形・文字」、予測不可能な作品が仕上がる「モダンテクニック」など、いくつかの表現方法を楽しみながら、テーマ開始時に力が入っているように見えた子どもたちの身体も随分緩み、回を重ねるごとに表現するハードルが下がってきたように見えた。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/35214/

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【2】#スタッフインタビュー
   『”自分がどうあるか”に誠実に、変化し続けたい』竹内 克紘
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ー長野県教育委員会からの教員派遣連携のもと、風越学園での2年間が間もなく終わろうとしています。どんな2年間で、どんな自分に出会いましたか?

まだ終わるっていう実感が全然ないんですけどね。1年目の2023年度は、ゴリさん(岩瀬)とみっちゃん(大作)が誠実につくり続けている軽井沢風越ラーニングセンター(以下、ラーセン)の教師教育プログラムに学習者として参加するところから始まりました。探究の実践に関する本を読んだり、自分にとっては新しい記録の方法にチャレンジしたり。長野県の公立学校の教員として20年近く経験を積んできたけれど、これまで触れたことのない学び方と実践への向き合い方の新鮮さにワクワクしながらのスタートでした。

同時に、不安とか焦りは常にあったんですよね。これまで学級担任・教科担任として、自分が一定の責任を負って、子どもたちの1年間の学びや暮らしを日々つくり上げていくんだっていうヒリヒリした現実とか、 そこに没頭していく感覚から離れてしまって、学び手として時間を過ごすことが、ぽっかり穴が開いたような感覚もあったんです。自分は一体どこに向かおうとしてるのかなとか、何を期待されてここにいるのかな、みたいなことを考える時もありました。

ラーセンの強みは「学習者中心の学びのための、スクールベースの教師教育プログラム」だから、いずれ自分も風越で実践の場に立つんだろうなっていうことは思い描いてたんだけど、知れば知るほど、とても怖くなってしまったんです。

まず、風越にはチャイムがない。子どもたちが時間になったら黒板に向かって固定の席に座って、最初から最後まで授業に参加するという暗黙の前提が、ここにはなくて。スタッフは毎時間、子ども一人ひとりの姿をよく見ながら授業設計していて。時にはうまくいかない中でも実践している姿を目にして、自分がここに実践者として立つことがすごく怖くなる瞬間があった。

それでも1年目の2学期以降、徐々に実践の機会をもらって、プログラムを通して学んだ新しい方法で授業観察したり、記録したり、リフレクションを書いたりすることが補助線になって、スタッフと協同していきました。なんかしっくりこないなっていうことも含めてスタッフと共有しながら、その中で変化していく・学んでいく子どもの様子が見えてきたりして、すごく充実してるなって思える瞬間もあった1年目でした。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/staff_interview/35262/

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【3】#子どもの世界を覗いてみると
『1、2年生の圧巻の対話』林 里紗
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プロジェクトの時間。1,2年生Aグループでは、今までやってきた活動を表現する方法として、デカデカ地図・合奏・モノ図鑑など、様々なアウトプットが広がり始めている。
これまで、いろいろなアウトプットに参加していたカズトは、「今日はデカデカ地図にする!」と活動に向かう。

しかし、気づくと泣いて怒っているカズトの姿。デカデカ地図に長い間取り組んでいるタイチとアサに、一緒にやることを拒まれたとのこと。
入れてもらえないことへの悲しさと苛立ちから、泣き叫ぶカズト。
そのカズトに対してアサは「ダメとは言っていない」と否定。じゃあ、何を言ったのかと私が尋ねると、タイチとアサは「カズトは、怒るとこうやって泣いたり、暴力をふったりする。もしかしたら今まで長い時間かけて作ってきた地図を壊しちゃうかもしれない。それが心配。」と、正直に思っていることを伝えてきた。

それを聞いて、「でも、今までの喧嘩だって、いつも僕だけが悪いわけじゃない。それなのに、仲間に入れないのはひどい。なんでそういうこと言うんだよ!」と変わらず強い口調で泣き叫ぶカズト。

でも、そのカズトの様子を見て、「ほら、そうやって怒っちゃうじゃん?そうすると、話し合いにならないんだよ。」と冷静に伝えていくタイチ。「泣いていると、何を言っているか分からなくなっちゃうんだよ。まず落ち着いて。」とアサ。二人とも嫌な感じの言い方ではなく、本当に感じていることをカズトに伝えようとしている、という感じ。

その言葉を受けて、少し落ち着きながら、今感じている思いを伝えていくカズト。入っちゃダメだと言われて嫌な気持ちになること、受け入れてもらえなかったのが「僕がこのAグループにいらない、さらに風越にもいらない」と言われているように感じてしまうこと、喧嘩は僕だけが悪いわけじゃないのに僕ばかりこうなることは悲しいということ…。泣きながらもどんどん言葉にしていく。

カズトの話を受け止める二人。でも、そこで聞き流すのではなくきちんと、カズトの言葉を受けた上で、「でも、今まで暴力しちゃった様子を見たり聞いたりしているから、今回も心配なんだよ。そういうことがあるかもしれないと思うと、一緒にやりたいと思えないんだよ。」と、感じていることをマイルドに、でも正直に伝え続けていく。

「でも、いい喧嘩もある、悪いことだけじゃない。そこで仲良くなることもある。」とカズト。「でも、暴力しちゃうのは、やっぱり心配だし、困る。」と二人。平行線になりつつも、ちゃんとお互いの思いを受け止めつつ、自分の意見を伝えていく。

そんなやりとりを、ずっと同じ場にいて自由に動きながらも、確実に聞いているシオンとコンタ。二人もこの場への当事者性は高い様子。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/35291/

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【4】# お知らせ/実践ラボ
  「書きたい!なりたい!やってみたい!子どもが『のびやかな書き手』になる授業づくりとは?」参加者募集中
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軽井沢風越ラーニングセンターでは、#05「書きたい!なりたい!やってみたい!子どもが『のびやかな書き手』になる授業づくりとは?」というテーマで実践ラボを開催します。

日程は、2月25日(金)オンラインと3月3日(月)風越学園での授業参観と「作家の時間」ワークショップとリフレクションです。ラボ実践者は、当校の片岡利允(義務教育学校:1~4年生)です。

詳細は、実践ラボのページをご覧ください。2月19日が締切です。
>> https://kazakoshi.ed.jp/news/klc/35283/

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【5】# お知らせ/放課後イベント
   2/10(月)開催/世界トップクラスの技術を持つ12人によるジャグリングパフォーマンスショー@軽井沢風越学園
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2月10日(月)の放課後、軽井沢風越学園にて【特別ジャグリングイベント】を開催します!

世界から注目されている日本のトップジャグラー12名が一堂に介し、その技術を披露します。The Top 40 Jugglers of 2024で世界1位に輝いた谷岡海人さんや、世界3位の高橋優弘さんをはじめ、世界最高峰のジャグリング技術を間近で体感できる機会です。
今回のイベントは、ジャグリングの普及を目指す「jugmap」プロジェクトの合宿として、国内外で活躍する世界トップレベルのジャグラーたちが軽井沢に集結することをきっかけに企画されました。
軽井沢風越学園では「アウトプットデー(子どもたちの学びや創造の成果を発信する場)」を通じて、ジャグリングに触れる機会が多く、実際に挑戦している生徒も少なくありません。こうした背景の中で、世界最高峰の技術を間近で体感できる機会を子どもたちや地域の方々にも提供したいという想いから今回の開催が決定しました。
イベント詳細は、こちらからご覧ください。

>> https://kazakoshi.ed.jp/news/event/35273/

 

(あとがき)

9年生の有志メンバー中心に自分たちの卒業式の準備も始まりました。
みんながつくり手って思えるような卒業式にしたい、記憶に残る卒業式にしたいという彼女・彼らの言葉がかたちになっていくまでにまだまだ紆余曲折ありそうですが、全部出しきって旅立っていけますように!

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発行元 学校法人軽井沢風越学園
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