2024年7月26日

第87号(2024年7月26日発行)

2024年7月26日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

7月11日に今年度最初のアウトプットデイ(通算17回目)を開催しました。
子ども実行委員のメンバーが考えたテーマは『自分たちらしくおもいっきり〇〇あえる』。
スタッフもアウトプットしてほしいという子どもからの呼びかけ(挑戦状)に応えて思いっきりパフォーマンスや発表・展示をするスタッフの姿がいつもより多くありました。
「アウトプットを遠慮しないでほしい、手伝うことがあったら私たちもやるから」という子どもの言葉が、どこまでも対等なつくり手のものだったなと残っています。

かぜのーと 第87号(2024年7月26日発行)
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【1】『ラーニングセンターの現在地と未来』岩瀬 直樹
【2】『「何がしたい」ではなく、「ここにいたい」』林 里紗
【3】『記録と評価をぐるっと描くと』大作 光子
【4】『幼小のつながりを考え続けたい』林 里紗
【5】『うろうろしていろいろ考えてモヤモヤした』神吉 宇一
【6】お知らせ:10月以降の視察研修日程を追加しました
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【1】#軽井沢風越ラーニングセンター
   『ラーニングセンターの現在地と未来』岩瀬 直樹
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軽井沢風越ラーニングセンター(以下、ラーニングセンター)を2022年に開所して3年目を迎えた。ホームページには、3つの目標として以下のことが書かれている。

1「学習者中心の学びのための、スクールベースの教師教育プログラム」の開発
学園内スタッフならびに外部の共同研究者と連携してプログラムの開発および効果の検証と改善を行い、2023年度は長野県からの2名の派遣教員と共に、さらなるプログラムの改善に向けて取り組んでいます。

2プロジェクト型学習による探究的な学びをつくるために必要な、教師の力量形成の道すじを明らかにする
探究的な学びをつくる実践者の育成過程はわからないことが多くあります。軽井沢風越学園のフィールドをいかして、教師が実践者として力量を高めていく技術的熟達への道すじを明らかにすることに挑戦します。

3風越学園スタッフの実践・研究の推進
風越学園のスタッフが一年間の研究テーマを持って実践をすることをラーニングセンターでサポートします。研究の成果は学園で開催しているアウトプットデイや学会をはじめとして、さまざまな形で公開していく予定です。

3年目を迎え、ラーニングセンターは今どんなことをしているのか。その現在地を書き記しておきたい。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/klc/34347/

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【2】# 子どもの世界を覗いてみると
  『「何がしたい」ではなく、「ここにいたい」』林 里紗
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今日は月に一度の「森の日」。朝から色々な大人が来ていたり、色々な音が鳴ったりと、いつもと学園の様子が違った。その様子を敏感に受け取っているのか、ユウジロウは朝からせわしなく動き続けている。ロープなどでしばらく遊んだ後、鶏小屋で鶏の姿を見つめ続ける。その後、草刈機を操作していたスタッフのG(水澤)に出会い、Gの後を追い続ける。

オフィス前の芝生まで来て、Gが草刈りをしている横で自分も草刈り機を押す真似をして過ごす。そして、その後、薪割りをしている人やチェーンソーで丸太を切っている人の近くに行き、その様子をじっと見ている。

しばらくそのままの状態で時間が経ったところで、既に他の1年生たちが集まっているつどいの場に行こう、と声をかけたが、なかなか行こうとはしない。

ユウジロウの行きたくない気持ちと、私の行ってほしい気持ちをお互いに伝え合い、しばらく話し合いが続く。最終的には、妥協案として、遠回りにはなるが森を通ってつどいの場所に行く、ということに落ち着いた。

その後、森の中を散歩しながら通ってつどいの場所に着いたものの、輪になっている1年生の周りを1周して、結局その輪に入らず、そのまま通過してその場を後にするユウジロウ。そして、また森を出て、先ほど座ってじっと作業を見ていた、あの場所に戻ってきた。

戻ってきたユウジロウに対して、しんさん(本城)が質問をして声をかけるが、何かしたいことがあるわけではない様子。最後には、しんさんから切った木材を運んで積み上げる仕事を提案してもらい、「やる。」と決めてやり始めた。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/34447/

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【3】# だんだん風越
   『記録と評価をぐるっと描くと』大作 光子
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大事なことを、大事なときに残しておこう。私にとって「評価」は苦い子ども時代の象徴です。小学生の時の業者テストをこなしていた記憶、中学生になり人が数字で判断されることを知ると(1、2、3、4、5という、いわゆる評定)、誰がなんの基準で一人の人間を区切っているのだろうかと思春期らしい感情を抱きました。そんな子どもだったからなのか、音楽の授業中に先生に意見をしたら、「2」の成績をもらったときも苦笑いして通り過ごしてきました(それ以外の理由もあったかもしれませんが)。他方で定期試験のためだけに勉強をして、それなりに成績が上がるのと反比例するように、学ぶ楽しさは遠くにありました。なんとも切ない子ども時代だったなぁと思います。

風越学園では、カリキュラムは子どもたちの経験の総体として捉えていますので、区切られた学びの時間があったとしても子どもの生活・学びは地続きです。義務教育学校には一斉の定期テストがなく、土台の学び(教科)で必要な時期に、それぞれのスタッフが考える方法で評価をしています。そもそもプロジェクト型の学習は要素が複合的ですし、子ども一人ひとりの学びをどのように評価するのがよいのか、風越に来る前からずーーーーっと考えてきました。

そんな訳で、このかぜのーとでは、風越が取り組んできた評価のあゆみと、それにつながる記録についてのあれこれを私の視点から残しておきたいと思ったのです。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/34462/

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【4】# スタッフインタビュー
   『幼小のつながりを考え続けたい』林 里紗
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私、元々幼稚園の先生になりたかったんです。でも、大学で幼児教育の勉強をする過程で「子どもが好き」という気持ちだけではなれないなと感じる幼児教育の奥深さ、子ども理解の難しさみたいなものにぶち当たって。たとえば、幼稚園の実習で『子どもが〇〇を楽しむ』みたいなめあてを立てたりするんですけど、「私には目の前にいる子どもが今、本当に楽しんでいるのかどうかはわからないよな」、と思っちゃったんですよね。 「めあてを達成したかどうか、どうやって分かるの?」というか…。

それで、当時は小学校以降の教育の方が、マルバツが明確だったり、点数が出たりするからもしかしたら私には合ってるのかも…と思うようになって、小学校の教員になることに決めて大学院に進んだんです。そこで、公立学校を辞めて大学教員になったゴリさん(岩瀬)と出会ったりして。

でも、大学院で従来のカタチではない教育をいろいろ知ったり、これから目指す教育のことを考えたり学んだりしていくと、小学校以降も正解がないようなことが大事になってきているということがわかって、 「それってめちゃめちゃ幼児教育でやってるじゃん!幼児教育が基礎じゃん!」ということに気がついたんですよね。そこからやっぱり自分のベースには幼児教育というか、答えのない教育を持っておきたいと思うようになりました。

_ 大学院を卒業後、風越を一度受けたけれどそこでは参画せず、公立校で5年働いてからもう一度受け直したと聞きました。

そうなんです。新卒で受けた時はタイミングが合わず、結局公立校で働くことにしました。でも、公立校で1年生の担任もやらせてもらう中で、やっぱり幼小のつなぎとか幼児教育で大事にしてることを、小学校でも大事にできることが絶対肝だなって確信を持って。そこから、「幼小のつなぎをやりたい」という気持ちをさらに強く持つようになったんですけど、それを単発の活動ではなくてカリキュラムに落とし込むのが公立学校ではすごく難しくて。そのチャレンジができる学校にいきたいと思って、改めて風越を受け直しました。

2回目で入れてよかったなって、今はすごく思ってるんですよね。一度目は、風越への興味や新しい学校が立ち上がるということに参画したいという気持ちが大きかったんですけど、風越って大人も「これがしたい」ということがないと苦しくなっちゃう場所だなと思うので、多分辛くなっちゃっていたんじゃないかなあ。

今は「幼小のつなぎをやりたい」ということが明確なので、うまくいってもいかなくても、ずっとそれを探究できているからいいと自分で思えているのでよかったなと。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/staff_interview/34450/

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【5】# 保護者
  『うろうろしていろいろ考えてモヤモヤした』神吉 宇一
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7月4日に「うろうろ風越」が実施された。世間一般的な言い方をすると、授業参観・学校参観ってことになるのかな。この日は申し込みをした保護者が8時半に集まり、ゴリさん(岩瀬)がファシリテーターになって、みんなで語っては見る、見ては語る、そして聞く、みたいなことをやった。終了は15時、それまでたっぷり6時間半。こんな授業参観、ほかにはないだろう。

一般的な授業参観とは異なる点がもう一つあって、うろうろ風越は自分の子どもを見に行くわけではないということ。風越学園で何が起きているのか、風越学園がどういう場になっているのかを、見て語って考えるというのがうろうろ風越だと言っていいと思う。

うろうろ風越はTyphoon(保護者とスタッフのオンラインコミュニケーションプラットフォーム)に投稿されている「毎日うろうろチャンネル」から発展したものなんだと思う(たぶん)。「毎日うろうろチャンネル」は、ゴリさんが校内を徘徊して出会った子どものことや出来事について、かなりミクロな記述をしている。ものすごく具体的な子どもたちとのやりとりなんかが書かれている。にもかかわらず、そのすごーくミクロな記述から、風越学園でどんなことが起きているのかという全体が見えてくるというのがとても興味深いといつも思っていた。

うろうろ風越では、幼稚園から9年生まですべての子どもたちを見に行くことができる。だから、子どもたちがどんなふうに成長していくのかもわかる。最初にゴリさんから、見学は上の学年から順番に見た方がいいよってアドバイスがあった。なんで?って聞いたところ、直感的なものではあるけど、その方が成長・変化がよくわかると思うということだった。下から順番より上から順番ってこと。下からだと下の方の学年の雑然とした雰囲気に引っ張られちゃうんじゃないかなってことでもあった。それで、9年生から見学をはじめた。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/34398/

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【6】# お知らせ
  「10月以降の視察研修日程を追加しました」
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今年度の視察研修について、10月以降の日程を追加しました。

一日かけて風越学園をまわりながら、校舎の様子や実際に目の前で起こっているあそび・まなびの姿について見聞きしてもらいます。またそれらを題材に、参加者のみなさん自身の実践や大切にしたいことを取り扱い、日常に持ち帰るような研修を行います。理事長の本城、校長の岩瀬、スタッフのいずれかが当日の進行や研修を担当します。

詳細の確認・お申し込みはpeatixページからお願いします。

>> https://peatix.com/group/16189280/events

(あとがき)

子どもたちが夏休みに入りました。
日常の忙しさの中で気になりながらなかなか考えきれていないこと・話し合えていないことを深めたり、ぐっと学びを広げたりしています。
長いようで短い夏、スタッフと子どもたち、お互いどんな顔で再会できるか楽しみです。

 
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発行元 学校法人軽井沢風越学園
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