2024年6月26日

第86号(2024年6月26日発行)

2024年6月26日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

スタッフ間ではしばしば、どう協働する?一緒につくる?が難しさとともに話題になります。
つい、その方法や具体的な行為のことについて気になってしまうけれど、その前にただ一緒にいる、共にある、ということなしには何も始められない、あるいは始めてもうまくいかないのかもしれないなと、ぼんやり思っています。
そして、きっとスタッフと子ども、子ども同士も同じことが言えるだろうなと、今月集まった記事を読みながらまた思いました。

スタッフの応募締切は、7/7(日)です。
>> https://kazakoshi.ed.jp/news/recruit/34037/

かぜのーと 第86号(2024年6月26日発行)
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【1】『その人らしさが積み重なった先に』佐々木 陽平
【2】『その人がその人なりに考え続ける』藤山 茉優
【3】『ジリツした学習者って?』竹内 克紘
【4】『私が,風越学園から学んだこと,悩んでいること,考えていること』赤木 和重
【5】『子ども時代を旅して』稲葉 俊郎
【6】 アウトプットデイ・校舎見学会・オンライン学園説明会のお知らせ
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【1】# 算数・数学
   『その人らしさが積み重なった先に』佐々木 陽平
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今年度はふっしぁん(藤山)と算数の授業を一緒につくっている。ふっしぁんは算数の専門でもなんでもないのにすごく一生懸命やっていて、まわりから「ずくだしてるねー」(頑張ってるね)ってよく言われている。僕もふっしぁんに「ずくだしてるねー」って伝えたいし、ふっしぁんというスタッフが風越で「ずくだしてるよー」ってまわりに伝えたい。

昨年度たまたまオフィスで雑談をしているときに、ふっしぁんから「わたし算数好きなんだよね〜」って言われたときはほんとうにびっくりした。風越には教科が好きなひとはあまりいないし、小学校のスタッフはどちらかというと国語が好きな人が多い印象だったので、算数が好きな人がいることにすごくびっくりしたのだ。だったら算数の授業をつくるチャレンジを一緒にできるかなと思って、昨年度のおわりの振り返りで今年度5・6年の算数をもつふっしぁんとしんでぃ(大西)に自由進度学習を一旦やめてみないかとお誘いした。でも、そのときは「うーん…」って雰囲気だった。

振り返りのあと、授業のイメージを掴みたいからもうちょっと教えてくれない?ってふっしぁんが聞いてきた。僕は算数の教科書をぱらぱらと見せながら「答えが出てからも考え続けられる授業ができるといいなと思うんだよね」という話をした。例えば、立体の複合図形の体積を求める問題を考えたとき答えが出たとする。答えが出たら「他の方法でも同じ答えが出るかな?」「自分で考えた方法が数値が変わってもできるかな?」「形を変えても同じように体積を求められるかな?」って考え続けられると思考はだんだんと深まっていく。そんなふうに子どもたちが考え続ける授業をイメージしてると伝えた。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/34223/

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【2】# 5,6年
  『その人がその人なりに考え続ける』藤山 茉優
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ある日の雑談がきっかけで、今年度は算数にずくを出してみることにした。(ずくというのは、長野の方言で「根気」「やる気」に近い言葉)「国語より算数が好き」という理由で、2020年度からLG(ラーニンググループ)の土台の学びでは、毎年算数を担当してきたが、「数学」という専門教科を持つ人と一緒に方法の段階から問い直して、算数の授業を考えることを私はほとんどしてこなかった。普遍的な答えがある教科だから、その答えを出す方法(公式や筆算などの手続き的なもの)を知り、できるようになればいいのだとシンプルに考えていた。そこに「楽しさ」「実生活との繋がり」「コミュニティ」みたいなものも生まれるとなお良い、としか考えていなかった。

2024年3月。算数・数学ブランチで1年の振り返りをする中で「自由進度学習をしていて、困っていることってある?」とようへい(佐々木)に聞かれた。困っていることか・・・。気になっていることはあっても、困っていることはこれといってなかった。でもそれは、算数という世界のほんの一部しか見ていなかったからであり、これまで数学を専門にやってきたようへいは、いつ「自由進度学習をやめませんか?」を提案するか迷っていたのではないかと今になって思う。

ようへいに「自由進度学習、やめてみない?」と提案されたときは、「やめてどんな授業をするの?」と率直に思ったし、そう聞いたと思う。ようへいが私にチャレンジしてほしいことは明確にあって、それはようへい自身が7~9年生でやっている実践だった。それまでようへいの授業を一度も見たことがなかった私は、まずは実践を聞くことから始めた。なぜそういう方法をとっているのか、何を大事にしているのか、聞いてみて「いいね」と思えば乗っかってやってみればいいし、「うーん」と思えば「ごめん、無理だわ」って断ればいいし、と始まりは結構消極的だった。その後もやりとりを重ね、「もしふっしぁんがこの実践をするなら僕も一緒に授業を考えるし、どこまで空きコマをつくれるかわからないけど、可能なら授業にも入る。」と言ってくれて、それならチャレンジできるかもなー。やってみるかーとちょっぴり重い腰を上げた。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/34252/

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【3】# 軽井沢風越ラーニングセンター
   『ジリツした学習者って?』竹内 克紘
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ジリツした学習者のジリツには自律と自立、どちらの言葉がふさわしいのだろう?
長野県教育委員会からの派遣で風越学園に参画し、昨年度からラーニングセンターで学びながら、折々考えていることの1つ。この2年間の派遣研修期間で、ジリツした学習者のあり方を、自分の歩みを通して考え続けていこうと思っている。そこで、最近のぼくの歩みを残そうと思い、この原稿を書くことにした。
ラーニングセンターでの学びは、この4月から2年目を迎えた。

昨年度をふりかえると、風越で実践する喜びをたくさん味わったと感じる。テーマプロジェクトで、自分ごとのテーマを見出し、試行錯誤しながら問いを切り拓いていく子どもの姿に出会ったこと。同僚からフィードバックをもらったり、同僚の実践を観察したりして、それまでにはなかった視点に気づき、実践を広げたこと。仲間(大人も子どもも)と学び合うからこそ、気づきや試行錯誤が豊かになると実感した。

その一方で、痛みを伴うこともたくさんあった。風越では、偶発的に様々なことが起きる。同僚からのフィードバックが、ぼくのネガティブな感情を刺激することがあった。逆に、ぼくがネガティブな感情を刺激したなぁと自覚したこともある。ぼくがインストラクションをしていると、一人二人と子どもが離れていくのに、別のスタッフが即興的に入り、インストラクションをすると、同じ子どもが生き生きとしていくこともあった。

子どもも大人もつくり手であること。大人も学び続けること。向かっていきたい場所ははっきりしているのに、行動できない自分がいる。理想と現実のギャップが浮かび上がると、ざらつく感情を抱えていることが苦しかったのも事実だ。

私たち一人ひとりの生きてきた文脈は違う。共同実践では、痛みを伴うことは当然だと、頭では理解していても、感情が整理できない。これまでのぼくは、想定外を取り除き、同調して、都合のいいところだけを取り入れて生きることが上手だった気がする。その積み重ねの影響は、共同実践の難しさをネガティブに感じて、体を固くすることに表れているなぁと実感する場面がたくさんあった。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/klc/34243/

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【4】# 風越の教室に入ってみた
  『私が,風越学園から学んだこと,悩んでいること,考えていること』赤木 和重
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神戸大学の赤木と申します。今回で「風越の教室に入ってみた」の不定期連載記事を最後にいたします。といいますのも,昨年度末で,軽井沢風越学園の訪問をひと区切りさせていただいたからです。本当は,継続して訪問したかったのですが,年々,大学の仕事が増えて余裕がなくなってしまい…。残念ですが,しかし,いつか再訪する日を楽しみにしています。また,いつも私の勝手を聞いていただいた本城さん,岩瀬さんはじめ風越学園のスタッフ,そして,保護者のみなさんや子どもたちに,感謝申し上げます。刺激的なのにリラックスできる時間を本当にありがとうございました。

さて,最後の記事では,コロナ禍もあって,細々とではありましたが,開校から4年間継続して風越学園を訪問して学んだこと,悩んでいること,考えていることを,いくつかのトピックに分けて書きます。ちなみに,最初は「学んだこと」というだけのフレーズにしようと思ったのですが,「いや,待てよ…」と考えなおし,「学んだこと,悩んでいること,考えていること」というフレーズに修正しました。「学んだこと」は多くあったのですが,同時に「悩んでいることや考えていること」も多かったからです。

風越学園を訪問するたびに,「かぜのーとに書こうと思うけど,なかなか言葉にならない…」と逡巡することがありました。端的にいえば私の力量のなさが原因なのですが,それだけではなく,風越学園自体が,どんどん変化し,かつ,その変化に,スタッフ自身もいくらかの迷いがあり,その理解が追いつかなかったということも関係しているかなと思います。2,3か月あけて風越学園に行くと「あれ? カリキュラムが変わった? 活動の名前が変わってる?」ということがあり,また,スタッフも揺れていることがありました。そんな悩みに立ち会いながら一緒に考える・悩むことが多くありました。そのため,「学んだこと」という完了形の話だけではなく,私が「悩んでいることや,考えていること」という現在進行形の内容も含みこんで書くことにします。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/akagi_report/34293/

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【5】# 保護者
  『子ども時代を旅して』稲葉 俊郎 
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2024年6月18日(火)、裏風越で「しんさんの子ども時代って?」を企画しました。
きっかけはひょんなことです。私が武蔵野美術大学で大学院生に講義をしたとき、そこにモグリで聴講していた知人(井上岳一氏)から「稲葉さんの息子さんが通われている軽井沢風越学園の本城慎之介さんとOnlineで対談しましたよ。アーカイブでも公開されているので、ぜひ見てください」と言われたのです。(→山水郷チャンネル #99 本城 慎之介さん

アーカイブ動画を見て、しんさんの声を聴き、とても新鮮でした。風越学園ができる前。どういう思いが核にあったのか。何気ないエピソードの断片。形なきものをどうやって形あるものにしていくのか。ゼロから学校が生まれるプロセスを改めて知る機会で、すこぶる面白かったのです。コロナ禍で、人々が集うことに禁止がかかる異常な社会状況。どのように風越学園は乗り越えようとしたのか。理想と現実のギャップ。表に出ない苦しみや悲しみは感じ取るしかありません。周りの保護者にも動画を見てもらったところ、多くの人が同じような新鮮な感覚を得ていました。

私は、成長の種が潜んでいる原型である幼少期や、その人の根っこ・ルーツに興味があります。目に見えないけれど、その人の心の歴史が展開されるオリジン(origin)はどういうものなのだろうか。「しんさんはどういう子ども時代を送ったのだろう?」と、強く思いました。私が美術家の横尾忠則さんから伺い、人生の指針にしている言葉に「人生のすべては幼年期に詰まっている。大人になってからも、幼年期を形を変えて繰り返しているだけだ。」というものがあります。大人になって目標を見失ったとき、何ものにも染まっていない幼年期の時の感性を思い出しさえすれば、その人自身が進むべき道へと戻ることができるのだろう、と受け取っています。

様々な人生遍歴を経た大人たちと子どもたちが、この風越学園という磁場に引き寄せられて人生の一瞬が交わっています。しんさんの幼年期から青年期の思いに耳を澄ますことで、奥深くにある思いの核を表に共有できるのではないかと思いました。時計の針を過去に戻し、お互いの子ども時代を響かせてみたい。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/34269/

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【6】# お知らせ
   アウトプットデイ・校舎見学会・オンライン学園説明会のお知らせ
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7月11日(木)に第17回アウトプットデイを開催します。
地域のみなさんにもぜひ来ていただきたく、お申し込みなど詳細はお知らせページをご覧ください。
>> https://kazakoshi.ed.jp/news/event/34304/

また2025年度の入園・入学を検討していらっしゃるご家庭を対象に、7月30日(火)、31日(水)に校舎見学会および学園説明会(オンライン)を開催します。いずれも事前お申し込み制です。2025年度入園入学の募集に関する説明会は、今回以外に実施予定はありません。また、指定の日時以外の校舎見学も予定していません。ご参加お待ちしております。

7月22日(月)17時が申し込み締切です。

詳細はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/news/admission_info/34206/

(あとがき)

2020年から風越学園を訪問して記事を書いてくださっていた赤木さんの「風越の教室に入ってみた」シリーズが今月で最終号となりました。
赤木さんの視点を通して見る風越の風景はユーモアと示唆がたっぷりで、問いや気づきをたくさんいただきました。本当に感謝しています。またいつか番外編を書いていただけることを願って! 
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発行元 学校法人軽井沢風越学園
ホームページ https://kazakoshi.ed.jp
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