子ども編集部 2021年1月26日

人生初のクマとの出会い(ユナ)

かぜのーと こども編集部
投稿者 | かぜのーと こども編集部

2021年1月26日

5年生〜7年生が参加する国語クラス「ことばらぼ」では、2020年11月〜12月、新聞の読者投稿欄への投稿や、風越学園メールマガジン「かぜのーと」への投稿を想定して、意見文やエッセイを書きました。著者の了解を得て、そのうちのいくつかをこれから少しずつご紹介します。

初めて野生のクマに出会った。出会ったときは本当にびっくりした。動物園でホッキョクグマやジャイアントパンダ(シロクログマという別名がありクマ科だそう)は見たことがあるが、真っ黒の爪がものすごく鋭い野生のクマは見たことがなかった。

出会ったのは学校帰りの17時過ぎ頃。私の家の方面に住んでいる学校の子は少なく、いつも一人で帰っていた。いつものように『今日のおやつは何だろう?帰ったら何しよう?弟と遊ぼうかな?』と考えていたら、横からものすごい勢いで飛び出してきたものがあった。思わず足を止めた。最初は何だかわからなかった。丸い耳が2つあり、足が4本、暗闇でもわかる真っ黒さ、そして人間では出せないくらいのものすごい速いスピード。

次の瞬間、クマだとしか思わなかった。ものすごく怖くなったが、私の家へ道案内してくれているみたいに走っていったので、急いで帰ることはできなかった。しばらくしてクマが消えたとき、私はホッとしたが、まだ近くにいる可能性は十分にあるので、慎重に周りを見ながら足早に家に向かった。そして家に着き、母に言ったら、「本当にクマだったの!?人間の見間違えだったんじゃないの?」と言われた。「違う違う、本当に見たんだって!丸い耳が2つあって、足が4本、暗闇でもわかる真っ黒さ、そして人間では出せないくらいのものすごい速いスピード。あんなに速いスピードは人間じゃ出せないよ。」と私。

「真横から出てきたのに襲われなくて良かったよ。熊鈴のお陰かな?」と母。「ううん。びっくりしすぎて、思わず熊鈴が鳴らないように握りしめちゃったんだ。」と私。「えぇー!!」と母がズッコケた。

クマに刺激を与えてしまわないほうが良いかと思い、とっさの判断だった。本当はどっちが良かったのだろう。

パッと見た感じ、小さかったから子供かなぁと思っていたら、大人らしい。子供なのであれば、親が近くにいるんじゃないかと思った。でももう親離れした可能性もあるな、とも思った。

学校の隣の敷地から出てきたから、日中、外で遊んでいる前々期の子や前期の子たちが襲われないか心配だった。以前、学校の周辺にクマが出たときは、校舎の中から出ては行けなかったから、明日、学校に行けないかもしれないと思った。もし学校に行けたとしてもずっと校舎内にいなくてはならなくなり、お泊りができるかもしれないとも思った(笑)。

クマと出会ったあたり

環境省がおこなった調査によると、北海道の約55%の地域にヒグマが、本州の約45%の地域にはツキノワグマが生息しているそうだ。つまり日本の国土の半分の面積には、クマが生息していることになる。ツキノワグマは胸のあたりに月の輪の模様が入っているのが特徴だ。はっきりとは月の輪を確認できなかったが、私の見たクマは恐らくツキノワグマだろう。

クマ学習のときにピッキオの人が、学校の周りに出るのはツキノワグマだと教えてくれて、一度は見てみたいと思っていたので、少し嬉しかった。でもせっかくなら月の輪を見てみたかった。

昔、軽井沢の家に来たとき、道路をのんびり渡っているキツネの親子を何度か見た。リスは毎朝のようにお庭にいた。サルもガードレールの上で仲間たちを仲良く遊んでいた。なのになんでクマには1回も出会わなかったのだろう。それはピッキオの方々が、きちんと保護管理してくださっているお陰で、私達は危険な目に合わずに過ごせているのだろう、と実感した。

私の友達に軽井沢生まれ軽井沢育ちの子がいる。その子に「今まででクマを見たことはある?」と聞いてみた。そうしたら、「見たことがない。」と言われた。「えっ、ないの?」と驚きが隠せない私。「うん。クマじゃない他のシカとかキツネ、タヌキやサルはしょっちゅう見るけど、クマは見たことがないなぁ。」へー、そうなんだ。軽井沢や軽井沢の隣の御代田町に住んでいる人は当然のようにクマを見たことがあると思っていた。

昔、信州あるあるがたくさん載っている本を読んだときもそのようなことが書かれていた。例えば、『長野県に住んでいるんだから、スキーが上手だと思われた。』などだ。それもおかしい話だなと思った。「東京だからビルしかなくて、自然なんか少しもないんでしょ。」「北海道だから田んぼや畑、牧場などしかないんでしょ。」というようなことと似たような話だ。人間って勝手な思い込みに左右されやすいのだなぁと思った。

『どうして、人間は割合が多い情報を信じてしまうのか。』

7年生の社会「戦争とポスター」でもこのようなことについて考えている。色々なことに繋げられるものが風越にはたくさんあるなと思った。ますますたくさんのことに触れ合ってみたくなった。

#2020 #森

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