開校までの風越のいま 2018年12月22日

かぜのーと20号をふりかえって

辰巳 真理子
投稿者 | 辰巳 真理子

2018年12月22日

2017年5月から発行を始めたメールマガジン・かぜのーとは、今月で20号目となりました。広報や問い合わせ対応などを担当する事務局の辰巳真理子と本城が、ステークホルダー・コミュニケーションで大事にしていることについて、やりとりを交わしました。

(本城)かぜのーとの発行からここまでの約1年半をふりかえってみて、どんなふうに感じてる?

(辰巳)これまでのかぜのーとを読み返して改めて思うのは、何かを書くって、書き手の人となりが現れるなぁと。本城、岩瀬、苫野以外の書き手が増えることで、「こんなスタッフたちが学校づくりに関わっているよ」ということを伝えようとしているんだな、と思いました。書き手がこれまで経験したこと、考えていることが言葉の端々に現れるので、そこに光を当てた編集をしたいなというのは、ずっとありますね。

(本城)その人が現れる。

(辰巳)書き手がよく使う言葉や、私が書いたらこういう言い回しはしないなぁという発見が毎回あります。インタビューの場合は、この言葉にすごく力あったな、ここを話しているときの温度感は熱量高かったな、という部分は、なるべくそのままそのエネルギーで伝えたい。「よく伝えたい」っていう気持ちもなくはないんですけど、現実以上に「すごくいいでしょ」と見せたいわけじゃないので、その塩梅はいつも難しい。単に目に見えた事実だけをその通り書いてもおもしろくないので、そのときにスタッフが考えていたことや、その出来事に至るまでのプロセスを解釈したうえで発信したいと思っています。

なるべく正直に伝えたい

(本城)その時に、風越をどう伝えたいというのはある?

(辰巳)うーん、なんだろうな。なるべく正直に伝えたいですね。とはいえ、悪いことはそんなに書けないけど…。先月号のかぜのーとの「2018年秋、本城と岩瀬の現在地」の記事も、これを広く読んでもらうのはどういう意味があるんだろう、としばらく考えていました。あの記事に対して何かしらのネガティブな反応があったときに、私が受け止められる覚悟が持てなかったというか。最終的には、一旦の現在地としてシェアしておくのは、今のタイミングがいいなと思って出しました。

(本城)あれを出したことによるネガティブな反応があったとすると、ダメージを感じる?

(辰巳)ダメージを感じるというよりは、今まで受けとった情報で風越のことをポジティブに捉えている人たちの中には、もしかしたら、この記事を読んで不安に思う人がいるかもしれない。期待が大きければ大きいほど、その跳ね返りも大きいんじゃないかな、思っていたのとなんか違うという人たちとのコミュニケーションは難しいなと、先回りして心配してしまった感じです。

(本城)正直に、という点でいうと、あの記事って正直だと思う。

(辰巳)ふつうの学校だったら、正直すぎる記事は出さない…ですよね。全部がうまくいったときに、あのとき実はこんなことを思ってました、という邂逅として出すかもしれないけれど、今の時点では何にも結論出ていない現在地の記事だし。でも、発行後に伝わったかもしれないな、という反応がちらほら届き、嬉しい、ほっとした気持ちになっています。

仲間を増やすコミュニケーション

(本城)かぜのーとやホームページで情報を伝えるうえで、意識していることはある?

(辰巳)読み手の軽井沢風越学園に対する期待値を高め過ぎないこと。一番の読者として意識してるのは入園・入学を検討している保護者の存在です。お客さんじゃなくて、一緒に学校づくりする仲間になりませんか、というメッセージはずっと伝え続けたいですね。なるべく、お客さん扱いしないように。教育サービスを提供する・されるという関係性じゃなくて、一緒に学校づくりを楽しみたいというか、関わってもらえる余白を残しておきたい。完成したものを「はい、どうぞ」と差し出すよりは、不完全だったり、ちょっと足りなかったり、まだもやもやや問いが残っているところでお届けすることは、意識しています。

(本城)辰巳さんがするメールでの問い合わせ対応って、時々ぐっと踏み込むことがあるよね。たとえば子どもの育ちに心配のある保護者からの問い合わせとか、協力してくれているステークホルダーのみなさんに、近しい仲間としてコミュニケーションをとっていくような。

(辰巳)あぁ、確かに。なんであんなことするんでしょうね。

(本城)なんでするの?

(辰巳)なんでだろうなぁ。受け取り手の気持ちになってみたときに、ちょっと親しく感じられると嬉しいんじゃないかなと思うのかな。メールもかぜのーとの原稿も、書いたり編集したりしたあとに一度寝かせて、受け取り手の立場になって、まっさらな気持ちで読んだときにどうか?、という視点で最終チェックしています。全てのメールにはなかなかできないけれど、より相手が受け取りやすい伝え方はどんな言い回しのパターンがあるかは、いつも考えますね。これまでの仕事でもハイコンテクストなメールのやりとりが多かったせいかもしれません。

(本城)そのやりとりは、お客さんを増やさず、ファンを増やすことに繋がってると思うなぁ。

(辰巳)そうだと嬉しいです。妄信的なファンは増やしたくないけれど、なんか心地よいな、と思ってもらえる関係性は互いに築いていけたらいいな。

(本城)期待値をコントロールするというよりも、お客さん扱いせずに妄信的なファンを増やさずにというほうが、しっくりくるな。コミュニケーションの指針というか。

(辰巳)私は、本城さんが書く「かぜあそびの日」の参加保護者向けのメール、好きですよ。本城慎之介が書いている!っていうのが、すごくわかる。あれは読んでいて嬉しいと思う。風邪でお休みしますみたいなときにも、一言添えるじゃないですか。

(本城)そうだね。かぜのーともホームページも問い合わせも、そこでブツっと終わらせないようにしたいというのはあるな。これまで印象に残っているステークホルダーとのやりとりや、かぜのーとの記事ってなんかある?

(辰巳)そんなに細かなやりとりは見れていないけれど、子どもが参加するイベント終了時のお迎えの場面で、各スタッフが関わった子どもの保護者にこんな様子でしたよ、と伝えている様子は、なんだかすごい好きですね。親だって、自分の子どもの全てを知っているわけじゃないと思うので。子どもの持ついろんな側面のうちの一部について、その子に関わる大人同士が交換しあうのって、すてきなことだなって思います。

(本城)あの場面は、話す方も聞く方もどちらもいい表情してるもんな。

スタッフの変化や思考のプロセスを届ける

(辰巳)かぜのーとで印象的な記事だと、去年の12月に、ぽんちゃん(根岸)のインタビューを出しました。そのあと今年の10月に、子どもと一緒に読みたい本で「もりのへなそうる」の紹介を書いてもらったんですけど、約1年経ての彼女の変化が、なんとなく記事を通して読み手にも伝わったような気がして。こんなふうに書き手の変化はこれからスタッフが増えていく中でも伝えていきたいなと思いましたね。

(本城)たしかに、ぽんというスタッフの変化があれで伝わるよね。軽井沢風越学園という学校のことを伝えるというよりも、まずは一人一人のスタッフがどんな人間なのかを伝える。そのためのかぜのーとであり、ホームページであり、問い合わせの対応であり、保護者とのコミュニケーションなんだな。

(辰巳)来年は、もうちょっとかぜのーとの発行頻度あげれるかな?

(本城)月1回じゃなくてですか!?(笑)。ボリュームを増やすか、頻度を増やすかか…。

(辰巳)どっちがどうでしょうね。

(本城)どっちも大変だな(笑)。

(辰巳)じゃあ、やっぱり当面月1回でいきましょう(笑)。

(本城)かぜのーとを読んでのフィードバックをほしいと思うことはある?読んでの感想が届くとか、記事に「いいね!」ボタンが押されるとか。

(辰巳)気にしたことなかった。

(本城)あると励みになるタイプ?

(辰巳)そういうタイプではないですね。あると気にはなると思うけど、なくても気にならない。良いものをお届けしている自信はあるので、反応が返ってきたらもちろん嬉しいけれど、そのためにやってるわけじゃないかな。

(本城)開校まであと1年。これやってみようかなと考えていることは何かある?

(辰巳)1週間に2、3回くらいの頻度で、スタッフが順番にちょっとした日々のふりかえりや思いつきを書いていくのはどうかなと思っています。つぶやき、くらいの気軽さで。

(本城)それはいいと思うな。月1回発行だと、どうしても情報の鮮度が落ちるんだよね。たとえば12月の認可外保育施設の説明会は午後の開催で、ちょっと寒くてお腹も空きそうだから焚き火と干し芋を用意します、というのを書くと、前回との公平性を優先するよりも、その場をいい場にしようとするスタンスは伝わるよね。

(辰巳)開校直前とか開校後とか、今よりももっと地域の人や保護者に力を借りることが増えると思うんです。そのときになって突然情報が入ってくるというよりは、そこまでのプロセスをうっすらとでも知ってもらえているといいなと思ってます。来年度にスタッフが増えることで、書き手も増えそうなので、これから楽しみです。

(2018/11/19)

#2018

辰巳 真理子

投稿者辰巳 真理子

投稿者辰巳 真理子

変化の大きい立ち上げ期を好み、これまで様々なプロジェクトの事務局に従事。組織は苦手だが、人は好き。おいしいものと日本酒も好き。長年の探究テーマは、聴くことについて。広報、ステークホルダー管理、各種イベント企画・運営などを担当。

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