2023年4月25日

第72号(2023年04月25日発行)

2023年4月25日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

4/12から新年度を迎えました。卒業していった人たちの不在が不思議な感じがしたり、一つずつ大きくなった人たちがそれぞれ頼もしく見えたりします。
新たに9名のスタッフを迎え、子どもたち・保護者と4年めの学校づくりのスタートです。
>> https://kazakoshi.ed.jp/staff/

今年も18歳〜24歳までの若者を対象とした「風越みらいツクール」を実施します。
具体的な進路や仕事のことを「  」の中に埋める前に、”私は、どんな「  」になっていくんだろう…”という問いを、多様な関係性の中で探り・確かめたい方をお待ちしています。
>> https://kazakoshi.ed.jp/kazamic/(5/31 〆切)

また、6/1,2(木,金)には放課後校舎開放の機会を持ちます。事前のお申し込みは不要です。詳細はWebのお知らせをご確認ください。
>> https://kazakoshi.ed.jp/news/event/29082/

かぜのーと 第72号(2023年04月25日発行)
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【1】『動物探検チーム物語〜巣立ちを迎えた人たちへ思いを馳せて…。』坂巻 愛子
【2】『ゆっくり ゆっくり 育まれてきた“なにか”』橋場 美穂
【3】『みどりグループの「ふりかえり」』林 里紗
【4】『真っ暗な未来に真っ黒い本』本城 慎之介
【5】『一人ひとりが世界とつながるアンバサダーになろう! ーワールドアンバサダー フィリピン渡航の記録(前編)ー』根岸 加奈
【6】 『子どもたちは何を見、感じ、考え、学んだのか。 ーワールドアンバサダー フィリピン渡航の記録(後編)ー』栗山 梓
【7】『しる・つながる・つくる』遠藤 綾
【8】『子どもたちにとっての安心安全なコミュニティをどうつくる?』木村 彰宏
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【1】# 幼稚園
  『動物探検チーム物語〜巣立ちを迎えた人たちへ思いを馳せて…。』坂巻 愛子
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3月17日、動物探検チーム(年長児)の人たちはいつもの調子で巣立っていった。2月末に幼稚園生活最後の日をどう過ごすか相談すると、みかんチーム(年少児)とどらにゃごチーム(年中児)、お家の人、オフィスのスタッフを呼んで『森のホテルの音楽会』をやると決めて、巣立つ日ギリギリまでたっぷりと遊んだ。『巣立ちの会』をして証書を渡したいと思っていたスタッフは前日になって巣立ちの会をさせてほしい、と伝えてバタバタと流れを決めたのだった。

動物探検チームは自分の居心地の良さを求め、やりたいことをやりたいようにやっていく日々の中で、いつしか家族のようなコミュニティになっていた。言いたいことを言って思いをぶつけ合い、喧嘩もしょっちゅう起こる。互いのことをよく感じ合った人たちだったと思う。このコミュニティが生まれた春、チーム名を決めるのにもなかなか決まらなくて、なんと2ヶ月余りかかってやっと決まった。このときから、いろいろな人がいる、いろいろな考えがある、ってことを痛感した人たちだったと思う。学園の敷地は広く、日常の遊びでは数人ずつがそれぞれ分かれ、チームみんなで過ごすことは少ない。普段関わりが少ない人とも出会える機会になるようにとおでかけをたっぷりした。動物園に行った後は『びっくりどうぶつえん』を発案してつくったり、学園で出会ったベアドッグに見惚れてピッキオさんに手紙を書いて野鳥の森へ出かけたりと、お出かけと学園での生活を自分たちでつくってきた。

そんな動物探検の人たちが幼稚園を巣立つ日まで2週間を切ったある日、学園から3キロ先にある鳥井原の森へのお出かけを提案してみた。この『3キロ』の道のりは動物探検チームが一度諦めた距離であった。それは9月、畑に入れる馬のうんちを貰うため3キロ先にある厩舎へのお出かけを提案したとき、ミチ「私たちには(遠過ぎて)無理だと思う」という声があがり、その声を聞いた人たちは確かにそうだ、という雰囲気になって行くのを止めたことがあったから。そう、この人たちは自分たちの『ものさし』を持っていた。それから、半年間、山登りやキャンプ、野鳥の森探検、いろいろなチャレンジをして、自分たちの『ものさし』を更新しながら共につくる日々を重ねてきた。今回の提案を受けて、ヨウ「動物探検なら行けると思う」アサ「うん、行ける。いろんな森に行ってみたい」の声、なんだか行けそう、今回はそんな雰囲気だった。

3キロの道のり…。動物探検チームみんなで歩けるのだろうかと、不安な思いが現れた人もいたが、そんな気持ちも共に抱えながら今回は「行ってみよう」ということになった。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/29205/

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【2】# 幼稚園
  『ゆっくり ゆっくり 育まれてきた“なにか”』橋場 美穂
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「一年の終わり頃、ヒカリさんから感じたこの雰囲気はなんだろう」

2022年度、ヒカリさんの過ごすコミュニティは大きく変わった。

所属する学年での生活が本当にヒカリさんにとって豊かなものになるのだろうか。という問いがうまれたからだ。そして年長児の集団の中で過ごす時間が増えることになった。時々4年生の学びやアドベンチャーなどの行事には4年生として参加する。その中で幼稚園で過ごす私たちはどうヒカリさんを迎えたらいいのだろうということと同時に、ヒカリさん自身もどうやってこのコミュニティに混ざっていけるのだろうという思いをもっていたことだろう。

こうしてたくさんの人たちが色んな思いを抱きながら2022年度がスタートした。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/29211/

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【3】# 1,2年
 『みどりグループの「ふりかえり」』林 里紗
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昨年度、1・2年生のラーニンググループでは、秋から15人ずつのグループを作って、活動をしてきた。私が一緒に過ごしてきたみどりグループでは、「森の中に広場を作りたい」という思いを持った子のアイデアから、森の中で遊んだり、自分で小さな椅子を作って好きな場所に置いてみたり、みんなで森の中でサンドイッチパーティーをしたりして、4ヶ月を過ごしてきた。

2月6日は、そんなみどりグループの最後の日。ラーニンググループのスタッフで相談して、最後の日はそれぞれのグループで振り返りをしよう、ということになった。私は、「どうやって振り返りをしようかなあ…」と悩みに悩んだ。「1・2年生に振り返りって必要かな?」という思いもよぎる。でも、楽しいことも大変なことも上手くいかないことも…たくさんのことがあったこの4ヶ月の日々を、このままゆるっと終わらせてしまうのは、あまりにも勿体無い、ともすごく感じる。これまでの日々をみんなと振り返って、噛み締めて終わりにしたい、と思う。でも、「じゃあ振り返りをしよう!」と1人ずつ感想を言ったり、紙に書くのもなんかしっくりこない。とってつけたような不自然な感じ。不自然じゃない振り返りの仕方って、なんだろう。

どんな振り返りがいいのかの答えはでないまま、とりあえず、みどりグループが話し合いをしていた時によく集まっていた机の場所に集まろうか、と声をかける。パラパラと何人かが集まり始めるけれど、ソファーのところがいい!とこっちに来ない人たちもいる。机の場所でやろうよ、と声をかけるけれど、「いつもその机のところだったから、飽きたよ〜。今日は最後なんだから、ソファーでやりたい!」とハルカ。でも、ソファーだとトランポリンのように跳ねるのが楽しくなってしまうのは風越でよく見る光景だから、ちょっと嫌だな…と思う私。

そんなこんなで、「どうやってやろうか迷っているんだよね〜…」とナナホに相談してみる。「『みどりグループでこんなことしたよね』って振り返ったり、『楽しかったね!またね!』って次に向けて進めるような感じの時間にしたいんだよね。」とイメージを伝える。すると、「みどりグループは森で活動してきたから、森で最後のつどいをするのはどう?」とナナホ。なるほどな〜と思い、みんなに伝えてもらう。ハルカも「それならいいね。」と、あっさりと森でやることに。私は「振り返り」という行為だけに目が行ってしまっていたけれど、子どもたちの中ではちゃんとこの4ヶ月やってきたことのストーリーや思いが根底に流れているんだな…と、子どもたちの素敵なところや、凄さを感じる。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/29157/

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【4】# みらいをつくる
   『真っ暗な未来に真っ黒い本』本城 慎之介
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真っ黒な表紙の本。表紙の7つのひらがなは、いまにも動き出しそうだ。

方向を指し示しているような「み」
おおきく口を開けているような「ら」
すっと立っているような「い」
どっしり座っているような「を」
何かをつかんでいるような「つ」
歩いているような「く」
力こぶのような「る」

みらいをつくる。
この本のタイトルだ。
この文字は、軽井沢風越学園の一期生がつくった。

真っ黒だと思っていた表紙は、手にとると真っ黒ではないことに気がつく。
浮かび上がる模様。模様の種類は1000、この本は一冊ずつ模様が違う。
一つとして同じ表紙はない。
一つとして同じみらいがないように。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/29101/

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【5】# マイプロジェクト
  『一人ひとりが世界とつながるアンバサダーになろう! ーワールドアンバサダー フィリピン渡航の記録(前編)ー』根岸 加奈
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「ヘーイ!パーティ?」
真夜中に扉をノックして、ウィンクしながらお茶目に言うスペインの友達が恋しい。もう、そんなふうに夜中に起こされることも、冷蔵庫のものを勝手に食べられることもないし、鍋でお出汁や具材に気をつかうこともない。

ハタチを過ぎてから4年間、世界各国から集まった個性豊かな人々と暮らす機会があった。文化も言語も違う人々との共同生活は、正直大変なことも多かった。宗教の違いによってルームメイト同士がけんかしたことも、食文化や掃除の習慣の違いに悩んだことも何度もあった。それでも、大変なこと以上に楽しいことが多く、人の温かさを感じる毎日だった。

今も鮮明に思い出せるのは、ホームパーティーで笑い泣きしたり、ルームメイトを訪ねてバックパックで旅をしたり、なぜか自分がお寿司の先生になっていて物凄い数の留学生に囲まれたりした風景だ。あの日々に自分が学んだことの数々を、改めて思い返している。世界はとても広いということ、自分の常識は数ある常識のうちのほんの一つにすぎないということ。

みんなの話を聞いていると、不思議と自分の悩みがちっぽけに思えた。もっとがむしゃらにやってみようと思えた。各地で奮闘する仲間の存在が、自分の原動力のひとつになっていた。風越学園でチャレンジしてみようと思った理由でもある。

「この国際交流プロジェクトが、世界の役に立つときが、楽しみです!」

ー2020年6月、はじめてフィリピンとオンラインでつながった日の国際交流プロジェクトリーダー・コウタロウの言葉。

それから3年弱が経った2023年1月、私は実際にフィリピンに行ってきた子どもたちの報告会で、葛藤、きらめき、発見、愛情、その他もろもろの温度感にあふれたアツい語りを聴きながら、「こういうところから世界平和につながっていくのかもしれない」と、大げさじゃなく心の底から思ったし、そう子どもたちにも伝えた。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/29026/

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【6】# マイプロジェクト
   『子どもたちは何を見、感じ、考え、学んだのか。 ーワールドアンバサダー フィリピン渡航の記録(後編)ー』栗山 梓
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ワールドアンバサダープロジェクトは、これまで多くのスタッフや関係者、寄付者の関心や応援に支えられながら、2年(国際交流プロジェクトの立ち上げから考えると3年)という長い時間を過ごしてきた。今回のフィリピン渡航は、これまでかけてきた時間や思いと比べれば、本当にあっという間の<5日間>。しかし、そこにはたくさんの学びが詰まっていた。
渡航期間は2022年11月20日から26日、活動できるのは中5日。この5日間を通して、ワクワークの日本人・現地スタッフの協力の下、子どもたちの「やりたい!」が現実になっていった。

子ども11人、大人3人の私たちの5日間のアドベンチャーをここに記したい。


軽井沢からの12時間以上にも及ぶ、新幹線・電車・飛行機という長い長い旅を終え、フィリピンセブに降り立ったのは午後10時すぎ。冷房が効きすぎた空港を抜け、外に出ると、じめっとした空気に、人気の少ないバスターミナル。空港の明かりは明るいが、あたりは真っ暗。ホテル行きのシャトルバスを待っていると、1匹の痩せ細ったのら猫が通りすぎる。猫好きのチーとチイチイコは「可愛い〜」と声を漏らすが、そのみすぼらしい姿に言葉を失う子どもたちも。

バスに乗ると、目まぐるしいスピードで「異文化」が飛び込んでくる。次々飛び込んでくるこれまで知らなかったフィリピン・セブの姿にそれぞれがポツリポツリと言葉を発し、少しずつ連鎖する。

「電線が蜘蛛の巣状態!」
「犬多いね。ガソリンスタンドにたくさんいる。餌とかもらえるのかな。」
「ゴミたくさん捨ててあるね。環境問題やばそう。」
「貧富の差すごいね。」「どこから感じるの?」「車の周りでお金をせがむ子もいるけど、車に乗って(着飾って)楽しそうにしている人もいたし。」
「壁に絵を描く人たち、もっといいことに使えたらいいのに。」「そんなに甘くないよ」「そうかな」
「立ちションしてる!笑」

一人ひとりの持ってきた問いが違えば、目に入るものがこんなにも違う。

「治安悪い!」「確かに、治安わる!」

誰かの言葉を皮切りに、溢れてきた言葉が少しずつ「治安が悪い」という言葉に集約されていく。私は何かを言いたい気持ちをぐっとこらえて、子どもたちが感じたものや出てきた言葉に浸ってみた。「治安が悪い」に子どもたちが込めた想いはなんだったのだろうか。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/29040/
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【7】# 保護者
  『しる・つながる・つくる』遠藤 綾
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遠藤 綾です。スタッフでもあり、二人の子どもの保護者でもあります。

今回の記事は、風越学園と保護者のみなさんとのつながりについて考えていることを共有したいと思い、保護者のみなさんへ向けて書いた手紙をかぜのーとに転載したものです。

2023年3月4日に保護者有志のみなさんによる「2022年ふりかえり」が開催され、参加してきました。実は私、参加に際して内心少しだけ身構えていました。保護者のみなさんのネガティブな感情が高まっているんじゃないか、その気持ちを私は受け止めきれるだろうか。そんなふうに勝手に推論のはしごを登っていたんですね。でも、そこで私が受けとったのは「風越学園を信頼したいんだよ、つながっていたいんだよ」というメッセージでした。参加された方の中には、今回勇気を出して参加した、という方もいらっしゃいました。このお手紙を読んでくださっている方の中にも、集うこと自体に、不安があったり、エネルギーが必要な方も少なからずいらっしゃるのではないかと想像しています。

安心できるつながりって、どうしたらつくられていくのでしょうね。私自身を省みても、風越という場とのつながりが細くなってしまったように感じてしまう時ってあるなぁと思います。スタッフなのに…。そういう時はあんまり元気が湧いてこなくて、一生懸命、低空飛行している。そこから浮上する時に、どんなことが起きているのかというと、私の場合は、共にここで働く仲間と大切なことをまっすぐやりとりできた時とか、風越の存在意義に触れられた時なのかなぁと。一人の保護者としての自分という観点でいうと、やはり子どもの姿からなのだと思います。

2023年度、保護者のみなさんとのつながりを育てていくために、できることを少しずつ試していきたいと思っています。新しいものを増やす、ということではなく、いま既にあるものを「つながり」にフォーカスして磨いていくようなイメージです。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/28978/

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【8】# 5,6年
  『子どもたちにとっての安心安全なコミュニティをどうつくる?』木村 彰宏
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「あっきー、4月のLG (5・6年ラーニンググループ) の活動写真をもらえないかな?今の様子と比べると、違いがよく分かると思うんだよね。」

2023年1月下旬のわたつくの時間、めい(5年生)とさんちゃん(6年生)が声をかけてきた。5・6年生の一年間の思い出アルバムを作って、データをみんなにプレゼントしたいのだとか。

子どもたち自身が、共に過ごしてきたコミュニティの様子に変化を感じているということが嬉しかった。

その二人の姿を見ながら僕も、5・6年生ラーニンググループ(以下、5・6LG)の様子が子ども達の中で、1年間かけて確かに変化してきたことを実感した。

そんな変化を振り返ると、その要因の一つとして、この一年間、5・6年生LGスタッフで沢山対話をしてきた日々が関係していると感じている。

「書く書く」と言い続けながら、気がつけば年度末のタイミングでようやく筆を取ることができた今回の記事では、2022年度の1年間、5・6年生LGの子どもたちに伴走してきたスタッフの間で起こっていたこと、スタッフと過ごす時間の中で自分が感じたこと、考えたこと、学ばせてもらったことを、ほんの一部だが言葉にしてみようと思う。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/29258/

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(あとがき)

今月号は昨年度のふりかえりの記事となりました。
新年度、気持ちが新たになることももちろんあるけれど、昨年度やあるいはもっと前からの過去とのつながりの中で起きている今この瞬間、があるなとも思います。
過去と今この瞬間に起きていることの両方を捉えて、どんな未来をつくろうか。読み手のみなさんがそれぞれの場所で同じような問いを持っているならば、かぜのーとがその触媒になっているといいなと願っています。

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発行元 学校法人軽井沢風越学園
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