2023年3月28日

第71号(2023年03月28日発行)

2023年3月28日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

3月17日、幼稚園の巣立ちの会(卒園式)。「じっくり ゆったり たっぷり まざって」をめいっぱい体感した年長児が、義務教育学校でどんなふうに過ごしていくだろうか、今から楽しみです。
3月21日は、初めての9年生の卒業式。頼もしい風越づくりの仲間たちの船出をみんなでお祝いしました。これまで様々な場面で9年生を支えてくださったみなさんに、心から感謝申し上げます。

5月26,27日に実施する建築・教育関係者対象・学びのかたちをつくる会 Vol.1「まわる・まざる・まなぶ」について、参加費の設定を見直しました。ぜひご参加ください。
>> https://kazakoshi.ed.jp/news/event/28381/

かぜのーと 第71号(2023年03月28日発行)
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【1】『ウロウロ、ブラブラする風越のみかん』奥野 千夏
【2】『僕が学校づくりで得たものは何か?』馬野 友之
【3】『「いつでもどこでも」とは異なる「今ここ」での経験~アウトプットデイに現地参加して~』渡辺 貴裕
【4】『子どもは風越学園のことをよくわかっている ~全力で,ゆるく~』赤木 和重
【5】『2023年3月のみなとまつり』本城 慎之介
【6】 『はじめての卒業式 ―子どものほうが,風越学園のことをよくわかっているー』赤木 和重
【7】『単元「オキナワ~声なき声を聴く~」子どもたちの言葉』甲斐 利恵子
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【1】#異年齢
  『ウロウロ、ブラブラする風越のみかん』奥野 千夏
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風越幼稚園にはクラスはなく、学年のチームと異年齢の暮らしグループ(ホーム)がある。今年度の年少チームは子どもたちと「みかん」という名前をつけた。みかんの人たちはウロウロ、ブラブラ探索しながら、日々おもしろいことを探してきている。私自身も彼らと一緒にこの世界に出会い直し、新たな発見や今まで見えてなかったものに気がつくことが多い。

みかんの人が入園してきて間もなく1年。四季の移ろいを感じる風越の森、ライブラリーやラボがある迷路のような校舎、3歳から15歳の子どもたち、個性豊かなスタッフや保護者に出会い、彼らの世界は広がり続けている。

幼稚園は荒天でない限り、ほぼ毎日野外で過ごしている。幼稚園の人たちが日々暮らす場所は、たくさん走り回ったりすることで森の土が踏み固められ土地やそこで生きている植物への負荷も大きくなる。理由はその一つではないけれど、毎年幼稚園の暮らす場所を遊牧民のように変えてきている。

今年度はラボ前の芝生広場の環境づくりを進め、そこに拠点を作ってきた。すると、これまで中と外とくっきりと分かれていた幼稚園の人と学校の人が交わる場面が見られるようになった。コロナ対策で学校の人たちもお昼を外で食べるため、幼稚園の人たちが遊んでいる庭と校舎の間のラボ前やデッキに出てくる。すると、遊んでいるみかんの人たちがお昼を食べているお兄ちゃんたちに近づいていくのだ。思春期のお兄さま方も嫌がるでも無視するでもなく、その場を一緒に過ごしている。

混ざることをねらって作った環境や機会ではないが、こんな風景が日常になってきている。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/28650/
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【2】#みらいをつくる
  『僕が学校づくりで得たものは何か?』馬野 友之
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学校づくりに取り組むプロジェクトは、人生で何度も経験できるわけではない。
僕は風越で数年間修行を積み、その知識や考え方を公立中学校で活かせるようになりたいと考えていた。どのようなカリキュラムを設計し、どんな学校をつくりあげることができるのか、とても楽しみだった。

そして、4年の歳月が経ち、学校をつくるプロセスに関わりながら、僕が得たものは、カリキュラム作りのノウハウではなく、自分の「ものさし」であることに気づいた。学校をつくることは、「自分自身」をつくることでもあった。

風越で過ごす中で、自分自身への問いかけがたくさん生まれた。自分は何が得意なのか?何が好きなのか?どの瞬間が、自分にとって心地よいのか?何が楽しいのか?将来どのように生きていきたいのか?自分にとっての幸せとは何か?自分は一人でも挑戦できるのか?どんな仲間のサポートがあるといいのか?

自分自身について、今まで見過ごしていたことが多かったことにも気づいた。苦しい経験もあったし、ちょっと逃げたこともあった。でも、考え続け、問い続けた。中学校3年生の頃に初めて進路選択をしたときのように、自分自身のことを見つめた4年間だった。未知へのチャレンジをし続けている9年生に僕は大きく影響を受け、パワーや勇気をもらい、励まされた。9年生のみんな、ありがとう。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/28659/

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【3】#アウトプットデイ
  『「いつでもどこでも」とは異なる「今ここ」での経験~アウトプットデイに現地参加して~』渡辺 貴裕
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風越のアウトプットデイに、今回初めて現地で参加した。これまでは、オンラインでモニター越しに参観した経験しかない。

そこで感じたこと。
それは、現地で見るのとオンラインで見るのとでは全然違うということ。
現地で見るほうが圧倒的に濃い経験になる。

もちろん、子どもの姿を生で見て声を聞ける、実物の展示物を見られるというのは大きい。けれども、それだけではない。
現地で見ることのよさは、それぞれの発表や展示が、風越の空間と結び付いてかけがえのないものとして行われていることを全身で感じられるということだ。

それはどういうことか。以下に書いておこう。

アウトプットデイの発表や展示は、風越の校舎内のさまざまな場所を活用して行われる。

午前中、ある「ルーム」(教室)では、5、6年生の「サイレント劇」が上演されていた。テーブルを組んだ簡易ステージの上で、音楽にあわせて子どもたちが、動きや身振り手振りで演じる。そして、司会役の子どもが「何のお話でしょう?」と観客に問いかける。
同じ時間帯に別の「ルーム」では、9年生の「3年間の冒険」の劇。スポットライトに階段状の客席にと本格的なしつらえ。キャンプで悪さを繰り返す生徒が「神」と出会って改心するストーリーに、たびたび笑いが起きていた。

校舎内のオープンスペースでも発表や展示が行われる。

校舎1階の中央を走る空間「あさま軸」には、机が並べられ、詩や絵画、工作など、各自の作品が展示されていた。「道具を仕立てるプロジェクト」に取り組む男の子が調整したカンナまで。

2階の空中回廊には、3、4年生がさまざまなブースを出している。段ボール製のコリントゲームで遊べたり、手作り雑貨を買えたり。

そして、「あさま軸」の両端には、「あさまテラス」と「そうぞうの広場」という2つのステージ。子どもたち、さらにはスタッフや保護者らによって、楽器演奏や合唱、ジャグリングパフォーマンスやカラオケライブが披露される。

風越の校舎は、大きな吹き抜けをもつ開放的なつくりで、教室の壁もガラス張り。各スペースがゆるやかにつながっている。そのため、歩いていると自然にいろいろな様子が目に入り、音が聞こえてくる。

以前、私は風越の校舎を「街」と表現したが、アウトプットデイでは、「街」らしさが存分に発揮される(3、4年生らが出しているブースは、まさに「風越のまちづくり」のプロジェクトによるものだ)。街を散策するように、子どもたちがプロジェクトを通して生み出したものを見て/聞いてまわる。
場所をめぐることが、発表や展示をめぐることそのものになる。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/insight/28449/

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【4】#風越の教室に入ってみた
  『子どもは風越学園のことをよくわかっている ~全力で,ゆるく~』赤木 和重
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神戸大学の赤木和重と申します。風越学園が開校して3年目が終わろうとする3月14日(火),15日(水)に訪問しました。様々な卒業イベントが,いろんなところで行われていましたが,そこにいい意味で「巻き込まれながら」,感じたことをエッセイにまとめました。

3月14日は,他の用事もあって,いつもとは違って11時すぎの遅い時間に着きました。

スタッフに挨拶し,さて,校内をウロウロするか~と思ったところ,エントラス付近で,スタッフのたいちさんと目があいました。たいちから「赤木さん,今日,用事あるんですか?」と,いつものひょうひょうとした感じで話しかけられました。「いや~,とくにないんですよ」と答える私。すると,たいちが,「いまから卒業イベントで野球するんですよ。どうですか? 人が足りなくて…」とのお誘い。

赤木「うん?え? いや,野球とか全然できないんですけど…」
たいち「野球はできなくても全然大丈夫です!引退試合なので,ぜひ!じゃ,よろしくです~」

研究のために来ているのに,「とくに用事がない」と答える私も私ですが,カジュアルにいきなり野球を誘ってくるたいちもすごい(笑)。
そして,私がモタモタしている間に,先に,車に乗って風越公園に行ってしまいました。あや~(笑)。ということで,風越公園にトコトコ歩いて移動します。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/akagi_report/28737/

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【5】#みらいをつくる
  『2023年3月のみなとまつり』本城 慎之介
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風越は港だ。

釣り船、カヤック、漁船、客船、フェリー、貨物船、ゴムボート、深海調査船、タンカー、潜水艦…。いろいろな船が出港し、寄港し、帰港する。たくさんの人や荷物を積んでいる、燃料も荷物もすっからかん、最新鋭や旧型、造船中に修理中、処女航海、試運転、各船状態も様々。港にもいろいろな人がいる。働いている人、釣りしている人、海を眺めている人、何かを売っている人、散歩している人。

その港で、僕は一人乗りのカヤックに乗っている。うろうろして、それぞれの船に声をかけたり、岸壁の様子を見たり、陸にあがったり。

そんな風越の港は、3月の半ばくらいからにぎわった。思い返すと、「みなとまつり」のようだった。僕は、小さい頃からまつりの準備も、本番も、そして後片付けも大好きだ。まつりが終わった今は、もう次に向かって全力で進んでいるが、夢のようなまつりの日々を記しておこう。

8年生が軸となりつくったスポーツフェスティバルは3月13日。影で支えてくれていた保護者のみなさんの存在、あたたかかった。当日は、1~9年生と保護者が異年齢のホーム単位で入り交じった。それぞれのホームの応援グッズは、子どもたちはもちろんだが、そのホームの保護者の皆さんが張り切ってつくっていた。「本部」の法被をまとった8年生の晴れ晴れとした表情。いつものことだが準備万端ではない。それでもなんとかなる、なんとかしちゃうのが頼もしいところ。1位が2つのホームあるから、急遽選抜リレーやるなんていう発想、大好きです。「8年生がしっかり9年生からバトンを受け取ったな」、そんなことを思いながら痛い足を引きずっていた。そう、僕はフットサルに参戦し、開始30秒で見事に右足脹脛肉離れで離脱。一度もボールには触れていないのに…。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/28713/

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【6】#風越の教室に入ってみた
  『はじめての卒業式 ―子どものほうが,風越学園のことをよくわかっているー』赤木 和重
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神戸大学の赤木です。
3月21日,風越学園のはじめての卒業式に参加してきました。とってもよかったです。同時に,記事にするのは正直はばかられるな…とも感じました。こう感じる理由の1つは,私が部外者だからです。卒業していく子どもたちの様子を詳しく知っているわけではありません。スタッフや保護者の喜びや苦労といったプロセスも十分には知りません。大事な大事な卒業式を,文字にする資格が果たして私にあるのだろうか,と躊躇しています。

ただ,一方で,1~2か月に1回程度ではありますが,開校から3年間にわたって風越学園を訪問させてもらってきました。これまでの子どもと風越学園のあゆみも多少は知っているつもりです。まったくの部外者ではないと思ってます。

ということで,内部とも外部ともいいきれない,周縁(マージナル)な人として,卒業式で感じたことを書きます。卒業式のことは,かぜのーとで,他にもたくさん記事が出るでしょう。あわせて読んでいただき,卒業式を立体的に想像してもらえれば,うれしいです。
なお,今回の記事は,あまり流れをつくらずに,気づいたままに箇条書き風に書いていきます。

●「『  』になる」がにじみ出たランウェイ●

卒業式は,1日がかりで様々なイベントが行われた。もちろん,卒業生が中心になっての企画だ。そのなかでも中心は,9時からはじまるランウェイだった。子どもたちが,ファッションショーのように,観衆のまえで,大音量の音楽のなかで,お立ち台を歩く。歩ききった先で,理事長のしんさんから卒業証書をもらい,そして卒業挨拶をする。

なんだろう,もうめちゃくちゃ自由でした。歩きながら,上着を脱いで観客に飛ばす人。騎馬戦で出てくる人(なんでやねん),照れながら,でも,1人でしっかりと歩みを進める人,複数人で仲良く歩いてくる人。歩き方だけではない。挨拶もそうだ。興奮してうまく表現できないけど,でも,大きな声で宣言する人。「みなさん,ありがとうございました」とクールに終える人。「最後に背中を押してもらえる卒業式でした」と重みを感じる言葉を綴る人。去るときも普通には去らない。お立ち台の途中で,観衆をバックに自撮りして,盛り上げる人。すごい。ただ,スタッフのりんさんがいってたのだけど,単純に「自由だ。よかったね」だけでは終わらない式だったとも思う。私なりにいえば,「自由って難しいのに,よくその自由を自分なりに表現にできたな」と思う。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/akagi_report/28746/

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【6】#土台の学び
  『単元「オキナワ~声なき声を聴く~」子どもたちの言葉』甲斐 利恵子
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 遠く離れた「オキナワ」。長野に住む子どもたちの多くにとっては縁遠い土地である。2022年、沖縄は本土復帰50年を迎えた。公立学校で「オキナワ」を単元にしたいと思ってから長い月日が経ってしまっていた。政治的な要素の強い授業はしないようにと言われたことがあった。

 単元開きの日、一枚の写真を用意した。写真にはアメリカ軍の捕虜になってしまった3人の日本兵がカメラに向かって真っ直ぐな視線を向けている。その表情は無表情で、彼らの心の中にどんな感情があるのか読み取れない。キャプションには左からその3人の年齢が記されている。75歳・16歳・13歳。彼ら3人の後ろにはおそらくアメリカ兵と思われる人たちが大勢、捕虜たちを眺めている。
 「この写真から読み取れる情報を、同じテーブルの人と話してみてください。3分~5分くらい。」と指示を出した。「この人、じいちゃんと同じ歳だよ。兵隊にされてんの?」とそうの声。「13歳って、兵士になれるの?」という声も聞こえた。捕虜になった3人の胸ポケットに「PW」って書いてある!PWって?「捕虜」って意味かな。後ろにいる多分アメリカ兵も怪我してるね。攻撃した方なのに、怪我するのかあ。地面が掘ってある。なんで?「塹壕」だよ、と答えている。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/28773/

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(あとがき)

24年度の募集要項ページを更新しました。
>> https://kazakoshi.ed.jp/campus/guide2024/
授業料等減免制度については、準備が整い次第、更新します。

新年度のはじまりは、4月12日です。
新しい家族と新しいスタッフを迎える4回目の春、これまでの延長線だけでない新しい世界をつくっていきたいです。

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発行元 学校法人軽井沢風越学園
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