2023年2月28日

第70号(2023年02月28日発行)

2023年2月28日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

いよいよ3年目の年度末。
先週はアウトプットデイを終え、来週は義務教育学校の三者面談(通称、自分プレゼン)を控えています。
9年生が”この3年間は「 」だった”、とかぎかっこの中身を20個埋めたふりかえりをしたところ、コロナやマスクという言葉がたくさん見られたものの、毎日が新しかった、自分を知る時間だった、強くなる時間だった、全部の学年に友達ができたなど、思わずうれしくなる言葉にもたくさん出会いました。
一つ選んだ言葉と写真と一緒にタイムカプセルとして埋めるそうです(定番!)。

かぜのーと 第70号(2023年02月28日発行)
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【1】『カリキュラムとしての枠組みと余白』岡部 哲
【2】『おまえはどこでどう生きてゆこうとしているのか』川村 絵梨
【3】『「私」がつくることがつくりだすこと。』山﨑 恭平
【4】『自然界のふしぎと子どもたちが教えてくれるもの』佐藤 美智子
【5】 2023/3/22(水)応募〆切/サポートスタッフ(パートタイマー職員)を募集します
【6】 学びのかたちをつくる会 Vol.1「まわる・まざる・まなぶ」を開催します
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【1】#探究の学び
  『カリキュラムとしての枠組みと余白』岡部 哲
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今日は風越学園の学びについて、少し込み入った話を書いてみようと思う。軽井沢風越学園では探究の学びを軸においている。と、一口に言っても、探究の学びには様々な段階と形がある。探究の学び自体は基本的に子どものしたいから始まる駆動力、すなわち「楽しいと思うこと」が前提として中心にあると考えるが、初めから「楽しいこと、自由にどうぞ。」と言われても、多くの子どもたちが自由になれるわけではない。そこで、子どもたちが自由になるための足場かけが必要となる。これには、カリキュラム的枠組みや大人の関わりなどいくつかあるが、今回はこの辺りについて考えたいと思う。

風越学園は来年度に向けて今年もカリキュラムの改訂真っ只中だが、義務教育学校における探究の学びの大きな枠組みとしては、以下の三つがある。まず、教科の本質に触れる大人から発信される「土台の学び」。そして、大人と子どもが一緒につくりあげる「テーマプロジェクト」。さらに、完全に子どもの「したい!」から始まる「マイプロジェクト」である。

風越学園では学校生活においてこれらの学びすべてが、探究的に学んでいることを目指しているが、私たちスタッフはこれらの学びが子どもたちにとってどのような探究の段階として手渡されているのか、つまり探究のグラデーションと共に、子どもたちがどのような段階で学んでいるかを意識する必要があるだろう。これは、子どもたちが自由に学び、自由に生きることができるために、大人の構成度合いを変える、という一つの手立てである。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/28301/
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【2】#暮らし
  『おまえはどこでどう生きてゆこうとしているのか』川村 絵梨
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寒い冬を乗り切ろうと、1・2年きいろグループでつくった牛乳パックのこたつ。
1月、きいろグループ解散とともに解体された牛乳パックたちは、次に、うんどうの時間に使うハードルへと生まれ変わった。思い思いの形のハードルを作っている横で、黙々と何かを組み立てているキョウ。そこに、いつもは一緒にいることのないユイの姿も。出来上がったのは、牛乳パックでできたお墓だった。「こたまる」と名づけられたそのお墓の前に場が生まれ、きいろのシンボルとなった。

こたまるは、キョウの怒りから生まれたお墓だ。牛乳パックのこたつを壊したくなかった。それなのに破壊された。こんなのめり込んだキョウの姿を見たのは、はじめてかもしれない。そこにハジメやリョウも加わる。まさか、こんなグループ活動終盤でみんなの心がぐらっと動く出来事が起こるなんて、思っていなかった。

思えば、私が風越に来てからいくつものお墓が生まれてきた。道で出会ったモグラのお墓。窓にぶつかって動かなくなった小鳥のお墓。飼っていたにわとり(コッコ?調べる)のお墓。私がお墓に心を寄せているのは、スタッフのみやちゃんがきっかけだ。

みやちゃんと初めて話したのは、お墓についてだった。「お墓って、人間が発明したものの中で、いちばんだと思う」と、みやちゃんは言う。お墓があることで、安心してちょっとの間忘れることができる、って。なんでも埋めていい。感情も、言えなかったことも、過去も。忘れているから生きていける。だけど、絶対忘れちゃいけないこと。ものも、人も、気持ちも、つながりも。

風越に来てから、「暮らす」って言葉をたくさん耳にしてきた。風越に行く、風越に通うじゃなくて、風越で暮らす、になるためには・・・
暮らすって、やりたくないこともやらないといけないし、見たくないものも見なきゃいけない。悲しいことも、逃げ出したくなることも、まるごとやってくる。「暮らす」はお客さんじゃないんだ。

今日は、そんな「暮らす」にまつわるあれこれを言葉にしてみようと思う。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/28356/

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【3】#ラボ
『「私」がつくることがつくりだすこと。』山﨑 恭平
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前回のかぜのーとでも少し触れたが、技術・家庭科を担当しているということもあって、僕は日常的に身の回りの物をつくったり、修理したりすることが多い。家電から、衣服までいろんなものを直すことがある。研鑚的な意味合いもあるが、その活動自体がおもしろいということもある。

そのおもしろさこそが、技術・家庭的な学びの意義だと思っている。技術・家庭はつくるための「知識」や「技能」だけを学ぶ教科と思われがち。だけど、実際にはつくることに関連した「おもしろさ」やその先で人や世界と「つながる」ことにこそ意義があると思っているので、そのことについて今回は書いてみようと思う。
僕はつくることの「おもしろさ」には2つあると思っている。
1つ目は、それをつくる人について良く知れることだ。修理も含め、つくることに関わることで、他の人が考えたプロセスや、工夫を知ることになり、それを通して対象についての視点を新たに持ったり、解像度が上がったりする。例えば、2021年度のテーマプロジェクトでアニメ制作をしたが、作画を担当した子たちの中にはアニメを見るときに構図の良さに目がいくようになった人もいるそうだ。

2つ目は、愛着を持つことが増える・生まれることだ。自分が関わることで、他のものとは違い世界で1つしかないという価値をもつ。あるいは完璧でないことも愛着を持つことにつながる。

そしてこの「おもしろさ」にはどちらも、プロセスや感情といったことが関連していると思う。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/28278/

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【4】#この地とつながる
『自然界のふしぎと子どもたちが教えてくれるもの』佐藤 美智子
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校舎のエントランスを入ってすぐのライブラリーの一角に水槽が置かれている。開校してまもない頃、シンノスケ(当時5年)、オカショー(当時7年)がみんなに魚を見てほしいとつくったエリア。少しずつ関わる子も増えていき、今では朝登校してくると、餌をあげにやってくるアラタ(4年)の姿や、「水槽汚れてるぞ!」といつもチェックしているハヤト(7年)の姿が。魚も餌がもらえることがわかるのかアラタが来ると気配を感じて水面に寄ってくる。「この魚なんていう名前だっけ?」「ウグイだよ」「大きくなったね」そんな会話も聞こえてくる。

毎週何曜日に集まって活動をするというよりも「水が汚れてきたな」「そろそろ水換えないとね」「じゃ、今日の放課後にここで!」「OK!」といった感じ。でも、そんな子どもたちのペースでとはいえもう3年。魚が好きだという思いで始まった活動だが、これまでの日々の積み重ねのなかで「みんなにも魚を見て楽しんでもらいたい」といった思いも育まれてきているように思う。もちろん魚が飛び出して死んでいたり、いろんな「事件」も起きるのだが・・・。

水槽は、近くの川に棲む魚やエビ、どじょうやヨシノボリなど、「淡水」に生息する生き物を育てている水槽と、海に棲むカニや貝を育てている「海水」の2種類の水槽がある。海水の水槽では、夏から仲間入りしたモズクガニがすくすくと成長して倍の大きさ近くなって、子どもたちと一緒に驚いています。
通りすがりに水槽をのぞいている子もいれば、ライブラリーにやってきた幼稚園の子がじーっと魚の様子をみていたり、校舎のなかのオアシスのように生き物のいるスペースとして機能しているなと思う。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/liv/28338/

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【5】#お知らせ
2023/3/22(水)応募〆切/サポートスタッフ(パートタイマー職員)を募集します
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スタッフの岩瀬さやかです。このたび、義務教育学校(1年生から9年生)で、スタッフとともに働いていただくサポートスタッフ(パートタイマー職員)を募集することになりました。

軽井沢風越学園では、従来のような特別支援学級や個別の支援員を置く体制をとらず、コミュニティのつながりを大事にしながら、その子に必要な支援を考えてきました。
その中で、継続してサポートがあったほうが、自由進度学習や探究的な学びに参加しやすい子も見えてきました。子どもたちの学び・暮らしをよりよくしていくために、「わける、まぜる」だけではないサポートをしてくださる方を求めています。

たとえば、思い描いているのは子どもたちのこんな姿です。

・5年生のAくんは、学びのスピードがゆっくりです。5,6年生・20人のラーニンググループの中で、Aくんの隣りにそっといて、取り組む問題の確認や励ますサポーターの存在によって、集中して学ぶことができます。取り組む問題や、どんなことを目標に置くかは、5,6年生のスタッフがAくんと相談しながら決めます。

全員がコミュニティの一員であることを中心におきながら、どんな子も関わりあいながら学べるような学習環境はどのようなものか。まだ答えがみつかっていません。風越の個別支援のこの先を対話しながら一緒につくってくださる方を募集します。

教育や療育の現場から離れていたけれど短時間ならやってみたいという方や、教育の現場ではなくても子どもに関する仕事の経験があるなど現場経験をお持ちの方も歓迎です。
子どもの発達支援やインクルーシブ教育に関心がある方の応募をお待ちしています。

詳細はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/news/recruit/28378/

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【6】#お知らせ
学びのかたちをつくる会 Vol.1「まわる・まざる・まなぶ」を開催します
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真っ直ぐな廊下に四角い教室が並ぶ。教室の南側には窓、正面の黒板に向かって椅子と机が並ぶ。私たち大人が育ったようなそんな校舎の当たり前から離れた空間設計・環境設計をすると、どんな子どもの学びの姿が見られるのでしょう。どう育っていくのでしょう。またその時、大人の役割はどう変化するでしょうか。
幸せな子ども時代を過ごせる学校をつくりたいと願って2020年4月に開設した軽井沢風越学園を題材に、「子どもたちの学びの姿が変容する学校建築とそこでの子どもの暮らし」について、建築に関わる人たちと保育・教育者・行政関係者がまざって考えてみたいと考え、学びのかたちをつくる会・第1回企画として以下のとおり開催いたします。
申し込み受付開始は、3月1日(水)12時からです。

主催:学びのかたちをつくる会(代表:仙田満、環境デザイン研究所・軽井沢風越学園)

実施日:2023年5月26日(金)・27日(土)の2日間(途中参加・退出はお控えください)
場 所:軽井沢風越学園(長野県北佐久郡軽井沢町発地1278-16)
参加者:100人(大学生・大学院生など20名)
参加費:2万円(学割:5000円/当日受付にて、学生証をご提示ください)
対象:子どもたちの教育・保育環境の建築設計に関係する方、保育・教育関係者で空間設計・環境設計に興味のある方、学校建築等に関係する行政関係の方

詳しくはこちら >> https://peatix.com/event/3516861/view

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(あとがき)
Webの「かぜのーと」ページを各記事のタグを表示させるプチリニューアルをしました。
タグをたどって、よかったらいろんな記事を探索してみてください。
https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/

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発行元 学校法人軽井沢風越学園
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