2022年2月25日

第58号(2022年2月25日発行)

2022年2月25日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

今朝、子どもたちが登校・登園してくる8時半の気温はマイナス9度。真っ白な木々の枝とシャーベット上の地面が子どもたちを迎えています。
新型コロナウイルス感染防止のため4週間続いた午前中のみの活動は、来週ようやく通常どおりとすることにしました。まだまだ外は冬の景色ですが、今年度子どもたちと過ごせる時間は残り3週間です。

かぜのーと 第58号(2022年2月25日発行)
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【1】『軽井沢の冬と原風景』奥野 千夏
【2】『自分たちでつくる』外崎 恵子
【3】『やりたいこと×スタッフのたすけ×なかま』本城 慎之介
【4】『あっという間の終わりに』岡田 達明
【5】『共につくる』酒井 朝羽
【6】『風越に養護教諭がいること』 清水 春美
【7】『遊びと勉強と学びは、地続きだ』青野 遼
【8】『「自分でつくるわたし」をつくる 』菊原 美里
【9】『「アウトプットデイのこと、もっと話そう。』兼松 佳宏
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【1】風越のいま 『軽井沢の冬と原風景』奥野 千夏
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ある日の朝、登園してきた子たちと真っ白に雪が積もったグラウンドに足を踏み入れると、動物の足跡らしきものを発見。

「こっちにつづいているよ」
「あー、ここでみえなくなった。もりにいったのかな?」
「だれのあしあとかな?うさぎかな?きつねかな?ここにとりみたいのもあるよー」

また別の日。朝のつどいが終わると、レイとカズハが「ねえねえ、来て来て。こっちに動物の足跡があるよ~」。そばにいた数人で見に行くとなにやらかわいらしい肉球の足跡が点在してます。

私が「この大きさ、クマかな?でもここにしかないね~。どっちにいったのかな?」と不思議そうにしていると、レイとカズハがニヤニヤ。「じつはこれ、わたしたちがつくったあしあとでした~!」とタネあかし。

すると、まわりで見ていた人たちも雪の上に思い思いの足跡を描いていき、そのうち恐竜の大きな足跡まで登場!

風越のグラウンドは森と地続きになっていて、整地していなく、中には大きな木がいくつもあります。私の所属している暮らしグループ「どんぐり5丁目」のシンボルツリーもそのうちの1本。

このグラウンドに雪が降り積もった朝には動物の足跡やフンを見つけることができ、さらに幼児はそこから自分たちで遊びの世界をつくり広げていきます。かれらの遊びの中で育まれる想像力たるや、本当に豊かで大人のそれをはるかに超えていつも驚かされています。

日中子どもたちが遊んでいるグラウンドには夜の間に動物たちが通った跡があり、探険にでかける森は動物たちの暮らす場でもあります。動物と人がその場を共有している、動物たちと共に暮らしているということを風越の子どもたちは体感として感じ取っているのではないでしょうか。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21722/

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【2】風越のいま 『自分たちでつくる』外崎 恵子
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2月3日の朝、ホーム翼はいつもと違う場所で朝のつどいを始めた。

ホームベースから浅間テラスへ。
大事なことを伝えたいと思って、環境や雰囲気を変えたかったのだ。

今年度ホームで過ごす時間は、残り32日。
「自分たちでつくる」ということを最後のホームプロジェクトにしようと伝えた。
スタッフが引っ張っていくのをやめる宣言だ。

これまで、このホームで子どもたちはいろんなホームプロジェクトをやってきた。ホーム名を変えるところからスタートし、そうぞうの広場全体を使ったピタゴラ。雪が降る寒い日には、自分たちで足湯までつくりだしてしまった。

残り30日…となったら、私だったら焦りそうだ。早くやることを決めようとするかもしれない。でも子どもたちは、「どんなホームにしたいか」を話し合うことからスタートしていた。

記事はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21782/

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【3】風越のいま 『やりたいこと×スタッフのたすけ×なかま』本城 慎之介
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第44週。まん防中につき登園登校は午前中のみ。

自宅からオンラインで学んでいる2年生のサクラ、スミレ、ナギサ、ユノ、カノ。画面にはスタッフの姿はない。

「わたし、第1章書いてるから、誰か第2章やってくれない?」「ねぇ、オレンジはこの場面はどんな感じがいいと思う?」

どうやら”オレンジ”という主人公の物語を協同で書いている様子。ノートに書いた文章を画面越しで共有している。

校舎ではかざこしミーティング。3・4年生のサトミ、タツ、ケイジロウ、イブキ、レイが「わたつく(わたしをつくる)をもっとじゅうじつさせたい」をテーマにミーティング。

学びに必要なのは、やりたいこと×スタッフのたすけ×なかま。子どもたち。ほんと、その通り。

記事はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21655/

今月公開した、他の300文字作文記事
・「おおきな板のカレンダー」>> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21772/
・「届けたいことを、どう届けるか。」>> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21494/

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【4】風越のいま 『あっという間の終わりに』岡田 達明
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角幡唯介著『狩りの思考法』。この本に通底するテーマが「ナルホイヤ」という思想。

これは、探検家としての氏がライフワークとして拠点に選んでいる極北、グリーンランドの地に住むイヌイットの言葉だ。ナルホイヤは「わからない」という意味で、未来を予測し、計画的に生きようとすることを否定するニュアンスが含まれているそうだ。イヌイットの口癖のようなものらしく、何を聞いても返ってくるのは大抵この言葉だ。

これまで6年生を担任することが多かった僕が、卒業式によく言っていたのが、「小学生時代のことはほとんど忘れてしまうけれど、忘れてしまっていい。でも、ふとしたときに思い出して、あれ面白かったな、とか。ちょっとでも未来に影響を与えられたのであれば、それはうれしいな」というようなこと。

軽井沢風越学園での派遣期間が終わろうとしている。1年間はあっという間というが、このあっという間にどれだけのことができたのだろう。正直、失敗や反省は多い。

例えば「わたしをつくる」(わたつく)の時間。この時間、スタッフたちは「パートナースタッフ」として担当の子どもたちの伴走をする。このパートナースタッフという役割が難しくて、うろうろして子どもを探しては「今、何やってるの?」と声をかける。提案をするわけではない。最初の頃はともに面白がることもできていなかった。今はどうなのか、というと、やっと「面白がる」くらいになってきたんじゃないかと思う。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21736/

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【5】風越のいま 『共につくる』酒井 朝羽
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「ここにいる誰も欠けずにみんなでつくりあげた舞台、最高だった!このプロジェクトはわたしにとって一生忘れないと思う!」

昨年9月〜12月に7・8年生と共につくり続けてきたプロジェクトである「えんげき〜宮沢賢治の世界〜」。子どもたちとのふりかえりのときに語っていたわたしの言葉である。
このプロジェクトでは、子どもたちがいきいきと表現する姿、そして「最後まで舞台をつくりきるぞ!」という気持ちから、脚本を自分たちの力でつくりきる姿がとても印象的だった。

そんな子どもたちのいきいきした姿が見られたのは、わたしと共にプロジェクトをつくり続けてくれた仲間、りんちゃん(甲斐)・ぽん(根岸)の存在がとても大きい。

ここで、プロジェクトを「共につくる」過程をじっくりとふりかえってみたいと思う。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21803/

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【6】だんだん風越 『風越に養護教諭がいること』 清水 春美
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10月下旬、風越の保健室に、養護教諭を目指すもえちゃん(總山萌さん)が来てくれました。インターン期間は2週間、そのうち3日はお向かいさんのほっちのロッヂで過ごしました。短い期間ではありましたが、風越で過ごした時間を、レポートにまとめてくれました。

この記事ではそのレポートを受けて考えたことを、言葉にしてみました。まずは、もえちゃんのレポートの一部を抜粋してご紹介します。

◆「学校現場に、養護教諭は必要か」という問い
私の関心ごとは、「学校現場に、養護教諭は必要か」という問いです。これに対して私の持つ仮説は「養護教諭は、学校現場に必要である」ですが、なぜこの問いに関心を寄せるようになったのかについて、まずお伝えします。

◆なぜこの問いに関心を寄せるようになったのか
これはあまり知られてないことですが、養護教諭は日本独自の職業であり、韓国と台湾を除いて海外にはない職業です。海外には「スクールナース」という学校看護師こそいますが、複数校を兼任していて常駐ではなかったり、学校外部に所属する『医療職』として学校に関わっています。一方、日本の養護教諭は各学校1校あたり原則1人は常駐していて、学校内部に所属する『教員』として勤務します。

しかし、海外には「養護教諭」という職種がないにも関わらず、学校現場が成立しています。この事実は『学校教育が成立するために「養護教諭」の存在は、絶対条件ではない』と捉えることもできます。実際、私がデンマークに行った際、養護教諭が担っている応急処置や健康教育は誰が代替しているのか、現地の教員のみなさんに伺ったところ、「応急処置はスクールナースや親が、健康教育は子どものそれぞれの担任が行うから問題ない。」という答えが返ってきました。
そうして浮上したのが、冒頭にご紹介した「学校現場に、養護教諭は必要か」という問いです。それ以来、私は養護教諭の本質的な価値はどこにあるのか見出そうとしてきました。いろんな教育現場をみる中で、軽井沢風越学園の存在も知りました。学校という形態でありながらも、これだけ自由な校風で存在する空間が衝撃的でしたし、そんな風越学園で養護教諭はどのような役割を担い、どう存在しているのかが気になりました。風越学園にとっての養護教諭を知ることで、養護教諭の本質的な価値を見出せる気がしたのです。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/21799/

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【7】風越のいま 『遊びと勉強と学びは、地続きだ』青野 遼
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昨年度から続くコロナ禍。休校、延期、中止と、コロナの影響で今年度もあれよあれよと予定が変わっていく。社会や学校がコロナに翻弄される中、僕も昨年度の春に大阪から長野に移住し、軽井沢西部小学校にお世話になった。そして今年度は軽井沢西部小学校に籍を置きながら風越学園に派遣されている。

「あおのりは、西部小の先生なの?」
「そうだよ」
「でも風越にいるときもあるの?」
「そうだよ」
「何で?」
「う〜ん、風越と西部小、どっちにも行けるんだよ。“特別”なんだよ」

と、苦しい説明を前期の子たちにしていたのが半年前。今年度のはじめに、派遣研修の2年間が今までやってきたことの延長だったらもったいないよねとゴリさん(岩瀬)とも話をし、暮らしの中で遊び、遊びの中で学ぶ前期の子どもたちと共に過ごしてきた。

そんな前期の姿は、後期の暮らしにどう結びついていくのか。そんな問いを持って後期の5・6年に関わりはじめたのが9月。

「あおのりって、西部小に行ってるの?」
「行ってるよ」
「西部小で何してるの?」
「5年生の理科の授業をしてるよ」
「へぇ〜」

と、2校を跨いで動く大人は、後期の子どもたちにとっても珍しかったようだ。

5・6年生に関わってみて感じたのは、前期の子たちの暮らしと比べ、後期の暮らしでは遊びと学びのつながる場面が少ないかな?ということ。遊びと学びが必ずしもつながらなければいけないもの、というわけではないが、そんな子どもたちの姿から、「5・6年生の子どもたちにとって、暮らしの中の遊びと学びがどのくらい繋がりを持っているのか」という問いを持った。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21815/

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【8】風越のいま 『「自分でつくるわたし」をつくる 』菊原 美里
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これまで7・8年ラーニンググループ(LG:国語や算数などの土台の学び、テーマプロジェクトなどを一緒に行なうグループ)のスタッフとして活動してきた。4月からインターンとしてジョインし、気づけば夏休みというようにあっという間に風越での日々は過ぎていった。

そんな中、私が設計を担当するテーマプロジェクトのテーマが決まったのは夏休み。朝から7・8年LGのスタッフで夏休み以降のことをずっと話していた日だった。長時間に及ぶミーティングに少し頭が痛いくらいだったけど、みっちゃん(大作)の熱量に押されて私も楽しく話していた。

しかし、テーマ担当決めのときには、そんな気分はすっかり抜けた。自分の担当したいタームへの手あげ制を取っていたが、まずいことに「えんげき」と書かれた第4タームの担当だけが空いていたのだ。私は演劇なんてやったこともないし、しかもそれを学んだことを表現するために使うとなると余計どうすればいいのかわからない・・・けど、設計者としてテーマを作ることにワクワクする気持ちや、ここで設計することを自分で決断しないと、これからもテーマが手元にないまま風越で日々を過ごすことになりそうな気がして、「やります!」と立ち上がって挙手をした。今まで自分の自信のなさや、単純な知識不足で関わりきることができなかった、テーマプロジェクトの設計。設計するところから関わりきるのはこの演劇のプロジェクトが初めてだった。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/21784/

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【9】だんだん風越『「アウトプットデイ」のこと、もっと話そう。」兼松 佳宏
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「アウトプットデイ」は、季節に一度のお祭りのような日。それぞれが数ヶ月かけて探究してきたプロジェクトのひとつの成果を、同じ学校の仲間やスタッフ、保護者へと共有する場です。
本を読んだり、講義を聞いたりという”インプット”でも、ぼーっと考え事をしたり、対話をしたりという”スループット”だけでもなく、あっちへこっちへ、ふわふわと移り変わっていくプロジェクトを、ひとまずのゴールに向けて「えいや!」っとギアを上げて、その途中の悲喜こもごものプロセスをほとんど知らない他者に向けて、目に見える形で披露してみるドキドキの場。それは、外的な成果だけでなく、内的な変容も晒されてしまう、タフな正念場。
そんなアウトプットデイが、どうして風越学園(の子どもたちやスタッフ、保護者たち)にとって大切なのでしょうか? そして、私たちはどんなアウトプットデイをつくっていきたいのでしょうか? 今回はそんな問いとともに、「アウトプットデイ」の記事を集めてみました。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/21756/

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(あとがき)
今年度の残された時間の使い方と並行して、来年度のことも検討を始めています。春休み中に新入園・入学の家族を迎える日に学校案内したいんだよね、と動き出している子どもたちがちらほら。その子・その人が本来持っているものが根を張って育っていくために、必要な土づくりはどんなことだろうと考えながら、雪溶けを待っています。

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発行元 学校法人軽井沢風越学園
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