だんだん風越 2020年7月20日

変態し続ける1,2年生の1日

甲斐崎 博史
投稿者 | 甲斐崎 博史

2020年7月20日

4月のオンライン、5月の分散登園・登校を経て、6月の通常登園・登校。子どもたちの生活・あそび・学びの時間をどう組み立てるか、スタッフはその都度、考えては手放し、再構築することを繰り返してきました。通常登園・登校が始まってからも、どうすればより良くなるかの思考と試行のサイクルを回しています。先日見直した「土台の学び」の時間をはじめとする1日の過ごし方について、甲斐崎に聞きました。(編集部・辰巳)


「土台の学び」時間帯を変える

前期(年少から2年)は、幼児から2年生まで朝のつどいを一緒に外でやり、そのままあそびへ発展する流れを大事にしたいという思いがありました。6/1から1,2年生は次のような流れで1日を過ごしていました。

6/1〜6/23までの1,2年生の1日の流れ

私たちの仮説は、”昼食が区切りとなって、午前のあそびが一旦終わる。そのまま、「土台の学び」の時間に入るとスムーズ。学びの時間が無理なくできるのでは。”というものでした。

ところが、3週間やってみて、3つの課題が見えてきます。
まず1つめは、昼食を食べた後にも子どもたちは遊ぶんです。何しろ2時間近く昼休みがあるので・・。昼休みの遊びを中断してからの「土台の学び」への切り替えが難しく、子どもたちの集中度、深まりが薄い様子が見られました。午前中、ヘロヘロになるまで外でめいっぱい遊んで、普通だったら昼寝したい時間ですよね。
2つめとして、「土台の学び」の後に学びの広がりの可能性が見えてきたことです。「土台の学び」のミニレッスンで教わったことを自分一人で書いてみたいとか、この算数をもうちょっとやってみたいとか。あるいは外あそびじゃなくて部屋の中で工作をしたいとか、本を読みたいとか。でも、「土台の学び」の後には14:30から帰りのつどいが控えていて、続きをやるには30分くらいしか時間が取れず、広がらない。外に出て遊ぶには短すぎる。結果、ただ子どもは校舎をウロウロするだけになってしまいました。
3つめは、1,2年生の「土台の時間」と同じ時間、後期(3〜7年生)は「探究の学び」に取り組んでいて、”混ざる”場面をつくろうにもつくれない、と気づいたのです。

よし、おおもとから、時間割を変えてみよう、というわけで「土台の学び」を朝のつどいの後にすることにしました。

6/24〜の1,2年生の1日の流れ

「土台の学び」を午前中に移したことで、落ち着いてスッと学びに入っていけるようになりました。また「土台の学び」のあと1時間程度は「セルフビルド」の時間(後述します)としました。これにより、昼食時間も含めて子どもそれぞれの「〜したい」を実現できている姿が見えます。

また、同じ時間に後期の子どもたちも「土台の学び」をやっているので、混ざることができる。例えば、後期の「作家の時間(ライティング・ワークショップ)」とコラボして一緒になって書いたり、読み合う時間を持てました。上級生たちが本を読んだり書いたりしている姿を見て刺激を受けるなど、混ざらなくても見ていられるというのはいい。なかなかいい感じの手応えを持っています。

「土台の学び」内容を変える

当初の「土台の学び」は、「作家の時間(ライティング・ワークショップ)、「読書家の時間(リーディング・ワークショップ)」、「ファンマス」の3つをやっていました。

がちゃの部屋(理科に関連した”?”を考える時間)と、こぐまの部屋(図工室でのつくる・表現する時間)は、セルフビルドの時間に任意で参加する形式をとり、全員が触れることはなかったんです。でも、造形的な学びって、幼児から続いているもの。こぐまは昨年から「つくる」は土台の学びだと言っていましたが、幼児が野外や図工室で様々なものをつくる様子を見て、確かにそうだよな、と実感できました。そこで6月24日から「つくる・えがく」を土台の学びに据えています。

さらに国語は、「作家の時間(ライティング・ワークショップ)、「読書家の時間(リーディング・ワークショップ)」に加えて、「ことばの時間」を始めました。言語領域、いわゆる言語の習得って1,2年生にとっては大事なんです。プリントを使って、自己主導を基本に苦手な子には個別に丁寧に教えるやり方で進めています。

また、算数は「ファンマス」とは別に「さんすう」として、『わたしたちのさんすう
』というテキストを使って概念的なところを学ぶことにしました。楽しく体験的な学びである「ファンマス」と、概念的に抑えていくような「さんすう」の2つに分けたかたちです。こちらも自己主導で学びながら、子どもたち同士で学び合っていけるようチャレンジしています。

これにより、現在の土台の学びは6種類あります。

1)作家の時間
2)読書家の時間
3)ことばの時間
4)ファンマス
5)さんすう
6)つくる・えがく

1時間35分ある「土台の学び」を45分ずつに分けて、ラーニンググループ(学習集団のまとまり)ごとに組み合わせています。「つくるえがく」は45分だと少し短いので2枠連続です。(ちなみに、このラーニンググループの編成も変えました。以前はホーム単位で「あ」と「え」・「い」と「う」と「お」と分けていましたが、各ホームを2つに分けて、5ホーム合同の24人を一つのラーニンググループとしました。ある程度の時間がきたら、また変更します。あ、ちなみに前期のホームは「あいうえお」の5つです)

※ ことばの時間は、1時間では長すぎて集中できないので、今は15分ごとのモジュール学習にして3日間設定しています。

「セルフビルドの時間」って?

「土台の学び」に続く10:45〜11:20と13:00〜14:30は、これまでの「生活・あそび・学び」から「セルフビルド」の時間として変更しました。子どもたち自身が、自分で選んで計画を立てていこうとしています。つながる広場で、「つくるえがく」の続きをしたり、後期のプロジェクト(探究の学び)に参加している子も何人かいるし、自分たちでプロジェクトを立ち上げている子もいます。ホームのプロジェクトも少しずつ始まって、ホーム「お」では「たなばたプロジェクト」の次に「ひらおやまえんそくプロジェクト」が動いています。ホーム「お」の場合、今のところセルフビルドの時間の選択肢は全部で7つ。

1)作家の時間
2)読書家の時間
3)ことばの時間
4)さんすう
5)ミニラボ
6)プロジェクト
7)そとあそび

です。「学びのコントローラーを自分で持つ」ということを大切にして、これらを子どもたちが自分で選び、決めています。今は1日単位の計画ですが、秋くらいには、1週間分の計画を立てることにもチャレンジしていきたいと考えています。

後期と混ざりやすくなった一方、幼児と1,2年生は分かれて過ごすことが増えました。でも子どもたちの様子を見ていると、1,2年生と幼児の違いは確実にあるんですよね。開校前は、2年生くらいまではたっぷり外あそびをしようという考えでいたけど、1,2年生は、あそびだけに留まらず、興味・関心が高度で幅広い。科学的・言語的・空間的・音感的なことへの興味・関心は外あそびだけじゃ、満足できない。
外あそびに飽きて校舎にふらふらーっと入ってくる子どもたちに、無理やり「外にでろー」と言いながら、非常に辛い気持ちになってきて。外であそぶのももちろん大事だと思うんだけど、その割合が幼児とは違うのかなという考えになってきました。また、スタッフによるあそびへの仕掛けがもう少しあってもいいかも、と「チャレンジ100 パート2」を始めています。

オンラインの時から、「どうする?」で始まった1.2年生の「土台の学び」、通常登校が始まってもいまだ試行錯誤の連続です。「生活・あそび・まなびの時間」も、「セルフビルドの時間」と名前や形を変えて変態し続けています。1.2年生の学びや遊び、生活は、幼稚園と後期(3〜7年生)の狭間にあって、どちらとも密接なつながりがあります。でも、決して幼稚園の目指す姿でもないし、後期の準備の時期でもないと思っています。あくまでも、今の時期のこの子たちが「〜したい」と求めるものを考えながらつくっていきたいと思っています。
さて、これからまた変わるんだろうな〜と変な期待を自分自身にかけながら、仲間と一緒に楽しくつくり続けていきたいと思います。あんまりあきれないでいてくださいね。

甲斐崎 博史

投稿者甲斐崎 博史

投稿者甲斐崎 博史

体験学習法をベースにしたアドベンチャー教育を、学校教育の中に取り入れることを長年実践してきました。軽井沢風越学園では、教育も人生も丸ごとアドベンチャーを楽しみたいと思います。

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