だんだん風越 2022年4月25日

つくり手たちの熱量高まる「風越づくりの日」

片岡 利允
投稿者 | 片岡 利允

2022年4月25日

風越学園の3年目、2022年度は「風越づくりキャンプ(通称「づくキャン」)」からはじまった。3日目の午前は「風越づくりの日」。2022年度の「風越づくり」がここからはじまる。学校づくりのキックオフの日だ。

風越の新たな1年をつくりはじめるにあたって、「つくる」を支える3つの視点、「ひと」「もの」「こと」について、考えたり、つくったり、交流したりする時間からスタートしていくことに。まずは、この3つの視点について行ったそれぞれの活動についての大まかな流れからお伝えしていきたい。

(最後に「ホーム」についての発表もあったが、こちらについてはまた別な機会に書くことにする)

「風越づくりの日」の3つの活動

1つ目は、「ひと」の時間。ともに風越をつくっていく、風越でつくっていくには仲間である「ひと」の存在が必要だ。そこにいる「ひと」とより詳しく知り合えていれば、例えば、「いっしょにこれやらない?」「ちょっと、相談したいんだけど・・・」とよりつくっていくことができるはず。そのために、まず、ここにいる「ひと」と出会い、出会い直すことからはじめよう。そんな時間。

まずは、シートに自分の好きなことや得意なことなどを記入して、できるだけいろんなたくさんの「ひと」と自己紹介をしあう。よく知っている人、まあまあ知っている人、知らない人、誰に声をかけるかは自分でチャレンジを選ぶ。できたらお互いにサイン。目指せ100人!ってな感じで。最終的には、このシートに写真をはって、しっかりと製本し、「ひとずかん」として完成させる予定だ

2つ目は、「もの」の時間。風越には、校舎という建物があり、その中には、ライブラリーやラボなどの場所があり、さらには、いたるところに道具がある。そういった風越の「もの」はどれも、僕たちの「つくる」を支えてくれる。「もの」について、正しい使い方を知らないと「つくる」につながっていかないし、そもそも存在すら知らないなら「つくる」ことの発想すら生まれない。風越の「もの」について詳しく知ることができると、より安全に、そして、よりクリエイティブに「もの」を活用することができるはず。

今度は、校舎の中を歩きながら、自分がよく使う「もの」、お気に入りの「もの」、知ってほしい「もの」などを思い思いの場所でシートにかいていく。再び、集まって先ほどと同じくできるだけたくさんの人と交流した。そして、このシートを集めて分類し、最後は「ものずかん」として完成させ、こちらも、これからの「つくる」に役立てるようにする予定。

最後に3つ目は、「こと」の時間。より「つくる」が豊かになっていくように、僕たちは、どんな「こと」を共有したいか。風越のみんなで大切にしたい「こと」について考える時間。企画段階で、みんなの「やくそくごと」をつくろうということになっていたが、そうなると「守るべきもの」というイメージが強く、逆に、互いのことを縛ってしまうことになるのではないかという結論に。ギリギリまで企画メンバーの子どもたちと相談し考えた結果、一人ひとりのねがいを“重ねた”、みんなの「ねがいごと」をつくろうということになった。

まずは、A4の紙に、これから風越のみんなで大切にしたい「ねがい」についてかく。学年バラバラで3〜5人のグループをつくり、じゃんけんで順番を決め、一人ずつ自分の「ねがい」について語るところから話し合いをはじめる。一人ひとりの「ねがい」を“重ね”、グループで1つの「ねがい」をつくり、新しい紙にかく。個人の「ねがい」にも、グループの「ねがい」にも、それが誰の「ねがい」なのかがわかるように記名し、それらも残しておく。そこからさらに2つのグループで合体し、6〜10人のグループにして、2つの「ねがい」を“重ね”、1つにする。最後は、その「ねがい」を大きな短冊にかき、みんなの「ねがいごと」として掲示する。これは、今後も大切にしたいこととして、月に1度のかざこしミーティングで振り返ったり、更新していったりする予定だ。

以上のような流れで、「風越づくりの日」を過ごした。今回の「風越づくり」の日を終えて、改めていい時間、熱量の高い時間だったなあと感じている。スタッフや子どもからもそういう声が多くあがったが、その理由はなんだったのか。ここから風越をつくっていくぞ!という活気溢れる場の熱源はどこにあったのか。翌日に、すぐさま企画メンバーのカイト(9年)、カイノスケ(9年)、シュウゴ(9年)、ノイ(8年)の4人とスタッフのぼく(とっくん)で振り返って話してみることにした。

風越づくりどうだった?

3年生から9年生165人が集まる場。長丁場かつ活動が盛りだくさんなこともあり、前日まで入念な打ち合わせを重ねてきた。

片岡

昨日の「風越づくり」どうだった?

カイノスケ:スタートとしてはよかったんじゃないかな。今回やったことが日常につながるように、ちゃんと今回のことが意識できるようにしていかないと意味ないなって思うから、それはこれからだね。

シュウゴ:時間が長かった割には、体感としては長く感じなかったかな。退屈な感じもなかった。あっという間だったというか。ちがう学年で混ぜてグループつくったり、みたいなのもよかったね。とっくんはどう?

片岡

昨日ね、帰ってコンタクトしちゃったまま寝ちゃったんだよね(笑)。

カイト:だから、今日メガネかけてんだ(笑)。

片岡

そういえば、朝風呂に入りながら考えてた。ここにいるメンバーやかざこしミーティングをつくってきたファシリテーターチームのメンバーと場づくりを根気強くやってきたこれまでの2年間があって、昨日のあの場がつくれたんだろうなって。

シュウゴとカイノスケが活動のモデルを即興でみせる。それをとっくんが解説。一連のやり取りは全てアドリブ。その場での判断。

みんな:うんうん。

片岡

シュウゴがスライドのトラブルがあった時にアドリブで間を埋めるためのやり取りを入れたり、カイトがiPadを使ってその場でスライドに説明の補足を書き加えたり、カイノスケが場を見て説明の付け加えのフォローを入れたり、ノイが活動で困ってそうな子へのフォローをしていたり、ここにいる5人で場をつくってる感じがあったな。

iPadを使って説明の補足を書き加えるカイト。

ひとり活動の相手を探している3年生に声をかけてみるノイ。その場で瞬時に判断して即興的に動いていく。

スタッフの関わり

片岡

あと、スタッフも含めて、みんなで場をつくるということを実践できたんじゃないかなって思ってる。前日にも、大切なやり取りがあったんだよね。最後の「ねがいごと」のところなんかは、取り扱いが難しいけど、風越にとって、とても大事なことを取り扱おうとしてるから、スタッフにもぐっと参加の意識を高めてほしいというようなことを投げかけた場面もあって。

カイノスケ:交流する時間に周りを見ていたんだけど、ゴリさん(岩瀬)とかあすこまさん(澤田)とかたいち(井上)とか結構困っていることとかを気にかけてくれて、新入生の子や一人になっている子に関わりにいってくれてた。それもよかったんだよねー。

ともに風越をつくっていく「ひと」や、風越のつくるを支える「もの」をより知ることで、これからの「つくる」がより豊かになっていく。スタッフも子どもも関係なく、知りあうためのずかんづくりの活動に参加した。

カイト:今回、結構スタッフグイグイいくなあと思ってたけど、そういう経緯があったんだ・・・。

カイノスケ:ゴリさんなんか、24人とサインしてたよ。ほら。(撮っていた写真を見せる)

みんな:うおー、すごい(笑)。

片岡

KAIさん(甲斐崎)が熱量のある時間だったっていってたんだけど、僕も、みんながつくり手であることを実感できる場としては十分な熱量を感じたなー。

椅子を並べたことで

シュウゴ:そういえば、去年と比べるのもおかしいと思うけど、より多くの人と触れ合えることができた気がして。これまでと違って、椅子を並べて置くことで、お互いの距離が近づいて声がかけやすかったり、ある程度聞く姿勢がとりやすかったりしたんじゃないかな。なんか歩いていると、「何しているの?」って聞きやすかったし。(椅子を並べた)形的にもよかったなあって。それが、お互いの熱量を感じるきっかけになったんじゃないかな。

前年度の最後のかざこしミーティングで、エントランス前で全校が集まったとき、ベンチを並べるだけで雰囲気が変わったことを思い出し、企画メンバーと呼びかけに集まったスタッフで前日に準備した。

カイノスケ:今回、ざわついてるなあとか話しづらいなあと思ったのは一回しかなかったんだよね。それはすごいやりやすかった。

ノイ:おれたちも前に並んで座ってたのもあって、みんなの状況が見えやすいのもあったと思う。

シュウゴ:あとさ、あんまりやらない方がよかったかもしれないけど、あの場では、返事とか反応を返すことを心がけてたんだけど、どうだったかな。

カイノスケ:やらない方がよかったわけじゃないけど、全体的な反応はよかったから、そんなに必要じゃなかったかもしれないね。

片岡

なるほどー。ちなみに、他の人たちも、心がけてたことってあったの?

心がけていたこと

カイノスケ:交流するときに、どんな人がどんな人とペアを組んでいるのかというのは結構見たね。ある程度知っている人同士ではじめに固まるのは仕方ないとして、知らない人にもいってる人がまあまあ出てきてて、それはよかった。

当日は、活動の様子を常時動画で撮影しつつ、参加者一人ひとりの様子を観察し、ときには必要なところで関わりにいっていたカイノスケ。

カイト:「ねがいごと」をつくろうとする時に、一人ひとりの「ねがい」を持ち寄って、グループでひとつ「ねがいごと」をつくるみたいなのあるじゃん。ラーニンググループでもやってるけど、個人的には、あれ、あんまり好きじゃないんだよね。一人一人のことが潰されそうで。でも、全体的には、ものずかん、ひとずかんも、雰囲気、場づくりとかは、よかったんじゃないかな。

当初「やくそくごと」だったのが、ギリギリまで検討を重ね、「ねがいごと」とすることに。一人ひとりの「ねがい」を重ねていき、最後は「風越学園20のねがいごと」がつくられた。最後に「ねがい」として書かれた言葉を、目だけではなく、身体でも感じるため、全員で声に出して読む。カイトの言葉を受けて、一人ひとりの「ねがい」を書いた紙も掲示する予定。

片岡

ちなみに、どのあたりがよかったと思ったの?

カイト:雨が降ってたから、みたいな、あれよかった。

カイノスケ:そうそう!とっくんのあれよかった。俺、好きだったよ。

片岡

いや、めっちゃ考えたの。カイノスケか誰かがさ、いつかのミーティングのときに「簡潔に、変化をつけよう」って言ってたじゃん。あれがずっと僕の中に残ってたんだよね。

カイト:あー、言ってた。

片岡

ちなみに僕が心がけたのはこのことだったと思う。あの時、「簡潔に、変化をつけよう」と言ってくれたのはよかったんだよね。

カイト:雨の音を聴いた後、すごい静かだったなあっていう印象が、ある、気がする。

カイノスケ:うんうん。ストレッチの後だったかな。

カイト:でも、雨の音聴いてって言った瞬間はそんなのほんとに聴こえるの?って思ったけどね(笑)。

カイノスケがプログラムの合間に、身体を動かす必要を感じ、全体での短いストレッチを入れる。場が温まったと同時に、この盛り上がりをいかに自然な流れで一度落ち着かせていくか。その後の「ねがいごと」のことについてどうやってみんなの気持ちを向けていけるのか考えに考えた。

片岡

僕もそういうこと思いながらやってたよ。でもさ、全部が一か八かだから(笑)。でもそういうことじゃん、人を相手にするってことは。どれだけ準備してても、予想外は起こる。その場で判断するしかない。だから、こういう場を経験して、今まさに鍛えられてるなあって思うよ(笑)。そういう必死な感じが熱を生んだのもあるかもしれないね。

カイト:あと、おそらく、椅子をおいたことで、コンサート感が出てたから、普段のかざこしミーティングみたいに遊んでいる人が全くいなかった。校舎を歩いてて、大きな机とか他の場所はシーンとしていたからびっくりした。椅子とかやる場所とか環境を変えたことの効果があったんだなあって思いました。

片岡

確かに。結構大きな手応えだったね。

カイト:でも毎回あれをやるわけにはいかない。毎回同じパターンでやるわけにもいかないし、変化は重要だと思う。

ノイ:うんうん。

片岡

例えば、ある場面で説明のときに最高のラボの看板をつかってみせたり、ノイにインタビューしてみたりして、その場にある人やものを最大限につかって変化をつけるのは最大のポイントだったかもしれないね。

ノイ:あのさ、実は昨日のこと、お腹痛くてあんまり覚えてないんだよね(苦笑)。自分的には、チャレンジというか、やれたなと思うのは、3年生の人とかに声かけたり、自分はそういうところに着目して心がけて活動してた。例えばちっちゃい子のこととか。場に馴染めてないというか、図工室のところに入っていた子とか何人かいて。椅子を置いていたこともあって、逆に、場に馴染めていないこともいて。

カイト:むずいな。

場づくりの探究はどこまでも

片岡

完璧ってないもんね。でも、完璧じゃなく、いろんなことが見えてくるのは、チームとして動いてたのもあるよね。だから、課題も見えたのはいいことだと思うな。

チームで場をつくること。それぞれが自分にできること、よりよくする方法を模索し続けた。

カイト:個人的には、進行中、ほぼほぼ参加者と一言も話してないから、話せばよかった。全体に向けての説明とかはしたけど・・・。「ひとずかん」も裏はサインもなく白紙だったから・・・。もうちょっと話しておけばよかったなあという後悔です(笑)。

片岡

どこまでも考えられるよね。こうやってたらどうなってたんだろうなあ、やっておけばよかったなあとか。ファシリテーターって奥が深いなあ。場づくりはどこまでも探究出来そうだよね。

カイト:椅子の並べ方、もっと通路があればよかったなあ。

みんな:うんうん。

カイト:照明ももうちょっとちゃんとやりたい。

カイノスケ:ちなみに音楽は選曲がいいってめっちゃ言われてたよ。

カイト:あと、奇跡的に外部の人が来ていなくて、オフィスのスタッフも全員いた。

カイノスケ:そうそう。やっぱ、スタッフが結構参加してくれてたと思う。後ろに立ってみてるんじゃなくてさ。

スタッフも風越のつくり手。新スタッフもつくるための「ひと」や「もの」について出会える場に。

 

片岡

そういえば、ちょっと気になってたんだけど、最近、ファシリテーターを担っていて変わったなあと思うこととかってある?あったら教えて欲しいんだけど。

シュウゴ:もしかしたら、今のカイトと対照的なのかもしれないけど、去年の半ば、ファシリテートとか対話とかをする場面で、控えめにいった方がいいんじゃないかなあとか、譲った方がいいとか、チャンスを与えた方がいいとか思ってたんだよね。でも最近は、それもあるけど、まずは自分が本気にならないと、周りも本気になれないんじゃないかなあとか、自分が笑わないと周りも笑えないんじゃないかなあとか。そういうことを薄々感じてきて。そういうのは変わったなあって。

片岡

それはおもしろいね。まさに熱が・・・あ、時間だ。じゃあ、続きはまた今度よろしく!

企画メンバーと話してみて、あの日のあの場の熱源は、きっと、1から情熱をもって企画してきたメンバー一人ひとりの存在だったんだということに気付かされた。当日朝、ギリギリまでアイデアを出し合って準備してきたこと当日も場をよく観察しながら各自がよりよくするために工夫し動き続けたこと、そういった場をつくる人たちの立ち振る舞いの全て、あり方が丸ごと場に影響を及ぼしたんだろうなと。今年度の「風越づくり」、ここから一人ひとりが「つくり手」として、あちこちで情熱をもってつくり続けることがたのしみだ。

#2022 #異年齢

片岡 利允

投稿者片岡 利允

投稿者片岡 利允

歩く、書く、話す、歌う、弾く、笑う、食べる、呑む、が好きな関西人です。感性・感覚・感情・直感・重視だけど、じっくりゆったりどっぷり考えることも好き。いい循環を生む触媒のような存在になりたい。風越のはじめの1年を終えた今、「ファシリテーション」「保育」「読み書き」あたりに関心があります。こう見えてまだ20代。シンガーソングライター。

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